第134回
この原油高にどう対処するべきか
経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年6月25日
今年(2008年)6月4日、OECD(経済協力開発機構)は世界経済見通しを公表した。それによると、日米欧など加盟30カ国の2008年の実質経済成長率は1.8%で、昨年12月時点の前回予測から下方修正されている(前年比で0.9ポイント低下)。さらに当面は景気減速とインフレが同時進行するという見方を示した。
確かに現在、世界の経済成長率は伸び悩んでいる。その理由として、二言目には「サブプライムローン問題」を挙げる人がいる。とりあえずそう言っておけば大きな間違いはないといったところなのだろう。しかし今回の分析を見ると、成長率が伸び悩む最大の原因は物価高だ。その一番の元凶は原油高であり、それが直接的、あるいは間接的にあらゆるものの物価を押し上げている。その代表が最近よく取り上げられる農産物の高騰だ。
今回のOECDの発表をもとに、国ごとの様子を見ていこう。下がOECDの経済見通しをグラフ化したものだ。2007年の実績と2008年の見通しを国ごとに並べている。
グラフの左側、すなわち高い成長率を見込まれているのが中国・インド・ロシア・ブラジルといった国々である。「やはり」というべきか、BRICsは依然として成長株というわけだ。そんなBRICs各国といえども昨年よりも今年のほうが低いという予測になっているわけだから、OECDの見解はシビアである。
逆に、グラフの右側には成長率の低い国が並んでいる。そこにある国名はといえば、ユーロ圏、日本、そして米国である。OECDは全体で1.8%、日本は1.7%、米国に至ってはなんと1.2%である。これがOECDが出してきた見通しだ。
次に見てほしいのはインフレ率の見通しである。
ここに挙げられたすべての主要国・地域でインフレ率が上昇すると見られている。しかも相当に高いインフレ率が予測されている国もある。ロシアがインフレ率10%を超えているのを筆頭に、BRICsは軒並み高いインフレ率である。ユーロ圏や米国でも3%を超えている。
対して日本はどうか。2007年は0.1%、2008年の見通しは0.9%と、1%近くにまで届きそうだ。これでも日本政府はデフレ脱却宣言をしない。いささかの皮肉を込めて言えば、それが日本の日本たるゆえんなのだろう。
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