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「産業突然死」の時代の人生論

道長に選ばれるためには姑息な手段も

 ところで、いまの極端な中央集権国家=日本はいかにして日本道州連邦へと移行できるのであろうか?

 1995年に雑誌「文藝春秋(三月号)」で発表した道州連邦制の論文で、わたしは3段階の移行を提言している。第1段階は各県議会が互選によって道州長を選んでいく。県別になっている国の出先機関を道州で統合していく。欧州の統合の過程でいえばEEC(欧州経済共同体)というフェーズである。第2段階では一部の立法権を譲り受け、予算も県をまたぐようになる。欧州共同体(EC)のフェーズ、といってもよい。最後は道州長を直接投票で選ぶ第3フェーズである。

 そのような考えを実行するにも、まずは新しい九州道の長にならなくてはいけないわけだ。仮に道長が、2期目までは従来の県知事の間で互選で決まるとしよう。3期目から道議会が出来て立法権の委譲が行われ、道民の直接投票で道州長を選ぶことになる。

九州のビジョン実現のステップ

 だから、まず道長になるには、知事の互選で選ばれないといけない。そのためには知事を刺激し、機嫌を損ねるような発言は控えることが肝要である。つまり、宮崎県には高齢者を持っていくというような、どこかの県が差別されるようなことは口に封をする。その代わり、「教育を変えよう」「小学校から韓国語をやろう」というような、どの県も平等に実施できるような全体ビジョンから提案していくのだ。

 そして選ばれてしまえば、2期目の互選まではその路線を貫く。さすれば2期8年は確定だ。そして2期目に突入したら、もう知事に遠慮する必要はない。3期目の直接投票で選ばれるように、地域の住民に喜ばれるための政治活動を行なう。

 わたしだったらその段階で初めて、この記事に取り上げたような「真の九州道プラン」を明確に提示するだろう。この期に及んで知事が「あの野郎、2度目の互選まではオレたちに都合の良い話ばかりして、心の中ではこんなことを考えていたのか」と怒り出しても、もう関係ない。2期目の残り4年で、やるべきことを実行する。

 そして、住民に「人もたくさん来るようになったし、お金も集まるようになった。九州が少し元気になった」と思ってもらえたら、3期目の当選は確実だ。実際、わたしのプランを現実に行おうとするならば、3期12年はかかるだろう。しかし、道長を次の人にバトンタッチしながらのリレーでは実現するのは無理だ。一人の道長が明確なビジョンを持って12年計画で実現に向けて尽力するしかない。

 サマータイムで甲論乙駁(こうろんおつばく)、結局先延ばしとなった日本のことである。道州連邦への移行は総論賛成・各論反対を絵に描いたような様相になるだろう。いまは賛成する知事も多いが、現実には知事職は5分の1に減るのだ。最後まで賛成でいられるかどうか、はなはだ心もとない。だからこそ、ここでは若干の皮肉なシナリオも含めて、あえて九州を例に取り12年間にわたる移行過程のシミュレーションを、架空の野心的な現職知事を想定しながら彼が初代道州長となるまでのロードマップを紹介してみたのだ。

 富の配分から創出へ。そして富を創出する単位、世界から潤沢な資金、企業、そして人材を導入する単位としての「(大前版)道州制」を記述してみた。

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