第3期の危機「銀行による貸し渋り」は米国でも起こる
第3期の危機は、銀行の貸し渋りだ。当時の日本を思い返してみると、いわゆる中小企業において、銀行の貸し渋りが起こった。ひっくり返りそうになった銀行が、自分たちの財務諸表を守ることを優先に考えて中小企業に資金を貸さなくなったのである。株式を上場している限りある程度の健全性を見せなければ市場から追放されてしまうのだから、これはやむを得ないとも言える。
そこで日本の場合には当局が(政治家の強い要請を受けて)中小企業を守るために、銀行による貸し渋りをやめさせようと考えた。それで、30兆円くらいの資金を貸し渋り対策金としてつくって、銀行に貸し渋りをしないように指導したのだ。もっとも銀行はその指導を守らなかったわけだが。
いま米国では、それと同じことが起ころうとしている。最近のビジネスウィーク誌でも、パイナップルなどフルーツ缶詰の生産で日本でも有名なドール社が資金的にショートし始めているなど、かなりの数の企業が要注意銘柄として扱われていた。ドール社は世界的な有名企業だが、実は米国の感覚では中堅企業である。そういうところが資金ショートしてきている。
そういう中小企業に資金注入しようとしても、資本市場も機能しないし、銀行も貸してはくれない。そこを何とかしないと倒産しか道はなくなるのである。米国政府は、そこに対してどういう貸し渋り対策を実行するのだろうか? 前述のミシュキン理事は、日本で貸し渋りが問題になっていた時期には既に離日していた。既に辞任をしてしまった彼は、日本での事例を他山の石にすることはできないのではないかと思う。コンシューマーのクレジットカードもやはり支払不能が増えてきている。日本のノンバンクでも経験したことだが、第3段階ではこうした小さいところが徐々に淘汰されていくことになる。
米国の現在の状況を見ると、日本が15年前にたどったと同じように動いている。ただ、当時の日本に比べれば、米国のほうが対応が早い。15年間をビデオの早送りで見ているような感じである。また対策も世界中から金を取り込むなど、国民負担の少ないものを優先して効果的に打ち出してくるように思える。日本がほとんどすべて国内の納税者と預金者にしわ寄せして時間をかけて解決したのとは好対照である。
しかし、アラブなどの世界がそういつまでもお人好しに助けてくれるのか、大統領選期間中レイムダックとなった米国政府が果たしてこの荒波のなかで操船できるのか、大きな危機の波はこれからである。来年の新大統領はマケイン、オバマどちらが選ばれても経済や金融には弱い。まだ第1幕しか見ていない状況ではあるが、この危機を米国がどう乗り切るか、また世界は揺れ続ける米国とどのようにつきあっていくのか、米国を切り離して繁栄の道を突き進もうという(decoupling)論者がいるがそんな虫のいいことができるのか、これからも引き続き注目していきたい。
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