第132回
米国の行く手に第2、第3の金融危機
経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年6月11日
米国の金融市場が混乱をきたしていることは、当コラムでも折りに触れて何度か述べてきた。世界経済の今後を占う上で、米国の金融市場は(良くも悪くも)最重要のファクターである。わたしも経営コンサルタントとしての仕事柄、注意深くウオッチし続けているのだが、米国の混乱はどうにも収まる見通しが立たない状況である。
なにしろFRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長の言うことが、ちょくちょく変わるのだ。今年(2008年)5月13日に金融市場の現状について、「正常な状態には、なおほど遠い」という認識を述べたかと思えば、18日には「金融市場は安定した」とまったく逆のことを口にする。
まったくもってバーナンキ議長には困ってしまう。あたかも信号のように、黄色から赤に変わったかと思えば、また黄色に、さらにグリーンへと色を変えていく。色が変わること自体は構わないのだが、その変わり方に一貫したロジックが存在しない(あるいは「ロジックが見えない」)のが問題だ。その発言に注目している者としては、「バーナンキさん、そろそろいい加減にしてくださいよ」と、ぼやきの一つも出ようというものではないか。
さて、その同じころ金融市場の安定をねらった動きがあった。FRB(連邦準備銀行)の一つであるニューヨーク連邦準備銀行は5月15日、3回にわたる公開市場操作で合計402億5000万ドル、日本円にしておよそ4兆2000億円もの資金を金融市場に供給したのだ。
わたしは、これで資金ショートによる連鎖倒産という金融危機のトリガーは取り除かれ、最悪期は脱したかもしれないと見ている。しかし、安心できる状況とはまだまだ言えない。というのも、これから第2期、第3期の波が襲ってくるはずなのだ。これは日本のかつての経験からも言えることである。
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