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「産業突然死」の時代の人生論

九州全域をカバーできる最適地は

 福岡空港の話に戻そう。

 福岡空港を移転するのであればどこが最適か。わたしが以前から推薦している場所は佐賀県の東端に位置している鳥栖(とす)だ。この地域は、九州全体の物流ハブとして非常にいい立地条件にある。鳥栖からは大分、長崎、熊本、福岡へと高速自動車道が走っている。熊本の先にある鹿児島もカバーすることができるだろう。鉄道という点からも高速道路という点からも、鳥栖は最高の位置なのだ。

 唯一宮崎からは遠いのだが、ほぼ九州全域で活用できる、極めて機能性の高い空港が出来るはずだ。特に道州制が施行され、「九州道」が出来た暁には重要な拠点となるだろう。しかも、水田の続く平らな農地なので(補償などの問題はあるが)、埋め立て工事や橋の建設などが不要だ。つまり、無駄なコストを掛けずに最高の空港を造ることができるわけだ。

 ではなぜ、この鳥栖に空港ができないか。福岡の財界人の発言力・影響力が強いからだ。鳥栖は佐賀であって福岡ではない(そのくせ今度の九州新幹線では博多の次が佐賀県の鳥栖で、その次が再び福岡県の久留米である。鳥栖は久留米よりも近いのに福岡の利権とはならない、というのがしゃくなのだ)。面子も立たないし、余計な工事をしないで済んでしまうとあっては自分たちに金も落ちない。だから反対しているのだ。

 造った空港が誰も使わないものになっても、彼らには関係のないことなのだ。自分たちは空港が不便になったら便利な新幹線で移動すればいい、あるいは広島と同じで、ほとぼりが冷めたころに今の空港を再開させればいいと考えているのだ。情けない話である。

 いずれにせよ、わたしからみたら関空を推進していた財界人にはろくな人がいなかったように、広島にも福岡にも大局的、長期的、かつグローバルな視点を持った人材が不足している。特にこういう無用なコストがかかる工事を平気な顔をして推進してくるような人、中央の役人の受け皿となっていることを自慢する人、地場の利権と対立しない事をもってまとめ役と勘違いしているようなやからは駄目だ。税金を自分たちの一時のカンフル剤のために無駄に使っておきながら、長期的には世界経済から取り残される触媒を演じている。そのくせ自分は新幹線のような便利な手段を使うから、「ま、いいか」と考える。

 日本にはまだそういう嫌な一面が残っている。あえて言葉を与えれば長年続いた中央集権、バラまき行政の結果、地方が陥った「宿痾(しゅくあ)」「業」というのがふさわしいだろう。

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