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「産業突然死」の時代の人生論

四つのマイナス材料が同時に顕在化するとき

 中国市場が悪化してくると、中国政府はどのような動きを見せるだろうか。上海市場が高いうちに、国有化されている株式を、なるべく早く売ってしまおうと焦った動きを見せるに違いない。オーバーハング(売り出した部分よりまだ政府が手持ちの部分が大きな構造)している株式を換金しようという動きを加速する可能性が高い。

 政府だけではない。資本家も財産を金に換えてしまおうとするだろう。株式市場が6000ポイントに戻るのを夢見るよりも、ここで換えなかったら一生の損だとばかりに財産を売り急ぐだろう。

 こういうことが全部重なるのだ。いろいろな要因を検討して「やっぱり売り時だ」と見ている人が多くなったわけだ。これまでは「中国株は、まだ持っていても大丈夫」という認識が強かったのだが、上記四つのマイナス材料を見れば、今はよほど慎重に長期保有か売り時かを吟味しなくてはいけない。外国人は上海のA株はどのみち買えないからこれは主として国内投資家の判断で決まる。貯蓄から株式にと、この数年すさまじい勢いでポートフォリオの転換があったのだが、ここで貯蓄に戻るのか、不動産などに向かうのか、この数カ月で見極めができるようになるだろう。

 それに中国の市場には、上海とシンセンのほかに香港があることを忘れてはいけない。これまでは上海市場が国内投資家によって急騰していたために、香港市場の(重複上場企業の)株価と乖離(かいり)していた状況が続いていたが、これから現実的な香港市場に同じ会社の株があればひきずられてくる。つまり是正されてくるのだ。

 もともと世界は中国に対して、積極的な見方と消極的な見方があった。そして現在は急速に後者に傾いてきている。本来であれば、このような緊急事態には中国政府自身が世界に対して「中国は大丈夫だ」「このようなポリシーを持っているから安心してほしい」と呼びかける必要がある。チベット問題ばかり注目させずに、広い視点で「中国政府は、このような経済政策を実行する」という発言をしなくていけない。

 ところが今回の全人代でも、そういった発言はなかった。要するに世界中から投資マネーを呼び込んでいながら中国政府にはIRの視点が欠けているのだ。IRとは「Investor Relations」のことで、企業が投資家向けに経営や財務の状況、これからの展望などを発表する活動のことだ。陰りが見え始めた中国経済にもう一度活を入れるためには、自らの活動を統治機構や透明性の点で見直し、明確に世界に開示していくことが求められている。しかし中国政府は意図的にかどうか、それをしない。だからどちらを向いてもマイナス材料しか目に飛び込んでこない、いまの状況があるのだ。

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