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「産業突然死」の時代の人生論

浮かぶのはマイナス材料ばかり

 この後の上海市場はどうなっていくのか。それを予想する材料をわたしも探してみたのだが、どうも状況は悲観的だ。プラス材料が少なく、マイナスのものばかりなのだ。

 第一のマイナス材料は米国経済の衰退である。実は中国経済も、日本経済と同等以上に米国への依存度が高い。米国への輸出で経済全体が支えられているのだ。そのため、米国の景気、特に中国が得意とする個人向け商品の需要が悪化すれば中国経済も影響を受ける。

 第二のマイナス材料は、人民元の高さだ。かつては1ドルが8元を超えていたのが、前述の通り現在では6元台に入り込んでいる。つまり、輸出競争力がそれだけ失われることになるのだ。輸出競争力の弱体化は中国経済にとってはマイナス要因である(長期的に見れば、元高が進めば中国の購買力が伸びるので、全面的にマイナスと断定するわけにもいかない。しかし現時点ではマイナスとしておこう)。

 第三のマイナス材料はチベット問題だ。中国政府はチベットでの民衆の暴動を武力で制圧していることから、世界的に非難を集めている。「野蛮なことをする国ではないか」「人権侵害がここまでひどいのか」と、欧州諸国を中心に中国に対するバッシングが起こっている。これは極めて大きなイメージダウンだ。

 これは、ある程度年配の方なら「何をいまさら」であろう。そう、中国はいま突然そういう国になったわけではない。昔から中国はそうなのだ。しかし、市場関係者は若い人が多い。なにしろ天安門事件すら知らない人だっているくらいなのだから、まして1950年の中国によるチベット武力併合など記憶の外であってもおかしくはない。

 そういう人たちが突然(彼らにしてみればまさに「突然」であろう)チベット問題を見せられると、警戒感を持つわけだ。もちろん中国政府は、こうした世界からの視点の変化は計算済みなのだとわたしは想像しているが。しかし、先週中国から来た要人の話では、中国政府も世界があまりにもネガティブに反応するので、すっかり自信をなくしているという。

 共産党の綱領では資本家は元々敵であったが、江沢民の最後のころにはこれを修正して、資本家であっても共産党員になれるようにしている。だがもう一つ、毛沢東の「重たい」教えに、共産党以外の宗教の排除がある。今の中国はそこまでやらなくても十分統治していけるし、「白いネコでも黒いネコでもネズミを捕る猫はいいネコ」なのだから、中国の発展に忠誠を誓う(反政府活動をしない)宗教を解禁しても特別の問題はないと思われる。今の政府はやはり毛沢東の教えを時代に合わせて変えていくことができない。版図も教義も60年前のままというジレンマは、図体がでかくなり、ある程度世界に受け入れられた中国がこれから解決していかなくてはならない重たい命題である。

 もっともガリレオが地動説を唱えてもローマ法王がなかなか認めなかったように、宗教法人としての共産党にとってこうした教義を変えていくことは外から見ている以上に大変なのだろう。

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