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「産業突然死」の時代の人生論

第124回
未体験の経済に向かう中国

経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年4月16日

 このところ急成長を見せていた中国市場に陰りが見えてきた。対ドル相場上昇が加速し、先週には1ドル6元台が実現してしまった。今年(2008年)3月26日には、1ドル7.013元まで上昇し、2005年7月に行われた為替制度改革後の最高値を更新し、6元台は時間の問題となっていたが、ドルの弱さもありあっさり割り込んでしまった。一方、上海総合指数は、同じ3月26日に3500ポイントを割り込み、前日比で5.416%安の3411.493ポイントの安値となった。

 日本での投資信託が年初から3月下旬までの成績を調査したところでは、中国・インド株式での運用益は最大で4割以上も悪化していたことも分かっている。それはもちろん、世界的な株安、円高が進行していることも関係はしている。しかしそれだけではない、ドラスティックな変化の兆しが中国市場に訪れている。

 上海市場については、かつては世界から信頼されておらず、なかなか値段がつかなかったものだ。香港市場は伸びても、上海は伸びない状況が長い間続いていたのだ。もちろん中国政府もそれを座視していたわけではない。2005年の暮れに投資家保護を確約した会社法・証券法の改正を通した。しかし、それでも状況に変化はなく、上海市場の信頼性は低いままだった。

 それは中国政府の体質も関係している。同国政府は、株を始めとする金融資産を膨大に持っている。土地は共産党が、そして国営企業の株式は当然国が持っている。そして株価が上がってくるとさっさと売って金に換えてしまうのだ。日本のにわかデイトレーダーがやっているようなことを、中国では政府が率先してやっているというわけだ。そんな調子のいいことでは、信頼性が上がるわけもない。

 法改正の「効果」が見えたのは2年後の2007年からである。この年、上海市場の株価ははっきりと上昇に転じ、一時は6000ポイントにまで上昇した。2006年始めには1000ポイント付近だったのだから、まさにむちゃくちゃな活況である。さすがに現在は落ち着いてきて3500ポイントあたりにいる。これは暴落というよりは、むしろ「是正」という意味合いが強いのかもしれない。

 したがって、何年も前から中国株を所有している人なら、タイミングを見て売ってしまえばいい。当時から見れば、ずいぶん高騰したのだから。6000ポイントのころに「もっと上がるにちがいない」と手を出した人には、2500ポイントものマイナスは厳しいだろうが‥‥。

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