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「産業突然死」の時代の人生論

第120回
衰退する米国経済にマネーを呼び戻す方法

経営コンサルタント 大前 研一氏
2008年3月19日

 米国の経済がさらに落ち込んできている。今年(2008年)2月の末には、ドル売りが加速し、円高・ドル安が加速した。ついに今週は月曜日から1ドル95円台と、13年ぶりの水準まで戻ってしまったのだ。株式相場も全面安で今年2番目の下げ幅を記録した。これからドルがますます衰退していき、世界経済の流れはユーロに向かっていくだろう。かねてよりわたしが「新・資本論」「新・経済原論」(ともに東洋経済新報社)などで指摘してきた“アトランチックの戦い”のシナリオ通りに。

 だが、ここに至ってもなお、FRBのバーナンキ議長はこの状況を悲観的にはとらえてはいないようだ。彼は「このドル安の傾向について非常に注意深く見ている」と語る一方で、「現時点では外貨準備の投資家や保有者がドル以外に資金を大幅に移している十分な証拠はない」と、新興国などでドル離れが進んでいる可能性は小さいという見方を示した。

 しかし、彼の発言を額面通りに受け取るわけにはいかない。こういう問題に対する政府の対応は、いつも同じだ。問題が起こっても、最初の数年はのらりくらりと否定するものなのだ。日本でもそういうことはあった。例のバブル崩壊を発端とした金融危機のとき、武村正義・大蔵大臣(当時)は何と言ったかご記憶だろうか。「不良債権は13兆円です」と言っていたのだ。

 ところが、皆さんもご存じの通り、実際の不良債権は150兆円を超えていた。実に10倍以上(!)もごまかしていたわけである。つまり、こういう場合には政府は、時代・国を超えてどこでも同じような大本営発表をするのである。今回のバーナンキ議長の発言は、要するにのらりくらりと否定して時間稼ぎをしているにすぎない。断じて鵜呑みにしてはならない。

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