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「産業突然死」の時代の人生論

米政府が銀行のオーナーになる時代は近い

 さて、サブプライムローンの、もう一方の当事者である銀行はどうか。これもビジネスウィーク誌では「Too Big to Fail」(大きすぎてつぶせない)という見出しで記事を掲載している。具体的には、銀行を倒産させないために政府が管掌する可能性を論じている。これは、かつての日本もそうだった。銀行を守るために、銀行間の合併をひたすら進めていった。米国でもそういう時期に差しかかってきたのである。

 米国の銀行は「今のところ」アラブのオイルマネーが入ってきて、資本増強はできている状況だ。しかし、それでも今回のトラブルを乗り越えられないところは出てくるだろう。そのときには政府が保証して、何らかの流動性を確保することが必要になる。

 では、ガバメントサポート、つまり政府管掌になる可能性を持つ銀行はどんなところか。その可能性が「Very High」(非常に高い:75〜95%)とされるのは、バンク・オプ・アメリカ、バンク・オブ・ニューヨーク、シティバンク、JPモルガン・チェースだ。続いて可能性が「High」(高い)にランクされるのは、ステート・ストリート、USバンコープ、ワコビアあたりだ。しかし、このクラスがトラブッた時には政府は抱きかかえないだろうし、つぶしにかかるだろう、ということである。

 なお30%以下と見なされる「Low」は、サントラスト・バンクス、ワシントン・ミューチャルとなる。いずれにせよ、規模の大きい銀行は政府が抱えざるを得ないことになるだろう。

 米国発の金融危機が世界に伝播するのを避けるにはまず米国民が負担しなくてはならない。また世界も対岸の火事では済まないだろうから中東オイルマネーに任せるだけではなく、何らかの負担が必要となろう。総額では300兆円くらいの与信枠を準備しないといけないという算定もある。つまり、今までに議論されている30兆円やウォーレン・バフェット氏の提案している80兆円の救済メカニズムでは全く足りないということである。

 サブプライム自体は30兆円くらいであるが、それが健全な債券と一緒にミンチ状態になって世界中にばらまかれたのが300兆円ということで、取りあえずはそうした与信枠を持った緊急看護室を準備しなくてはならない。不可能な数字ではないし、日本でも結局このくらい使ってしまったのだが、少しずつチビリチビリと出していたので10年の低空飛行を強いられた。

 今の世界にそのような手法(日本方式)をやっている余裕はないし、それをガマンする預金者、投資家、生活者はいないだろう。

 だが、常識的に考えれば、政府が銀行のオーナーになるということは、極めて異常な事態だ。とはいえ背に腹は代えられない。そうでもしないとパニックが伝播する可能性が高いのだ。

 他の雑誌でも、個別の銀行の危機について分析した記事は掲載されていた。しかしこのビジネスウィーク誌の記事のように、政府管掌まで広げて積極的に分析した記事は初めてだろう。もちろん今回のG7の蔵相会議においてポールソン長官はこのことには全く触れなかった。現政権に対する非難、責任問題が発覚することを恐れているのだろう。だからひたすら他の国に「下ぶれリスク」を認識するように訴えていたのだ。

 米国政府が自国の銀行を保証することに現実感を覚えない読者もいるかもしれない。しかし前例がないわけではない。かつて自動車メーカーのクライスラーは、政府が保証してお金を貸すことで急場をしのいだことがある。そのように自立再生の見込みがないと判断されたときには、政府の管掌になる可能性があるのだ。

 果たして米国の銀行は自立再生ができるのか? 成り行きを慎重に見守らなくてはいけない局面にさしかかっている。

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