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「産業突然死」の時代の人生論

インフラ競争より商品検索・在庫・配送技術に鉱脈がある

 ここで大前氏は、TiVoのCMカット機能に関連して、ネットワーク時代の特徴として、金がなくても頭を使って稼ぐことができると指摘する。

 その一例として、大前氏が主宰する「アタッカーズビジネススクール」出身の後藤玄利氏の例を紹介した。

 後藤氏は1967年生まれ。故郷の大分県で製薬会社を継ぐかたわら、健康食品やサプリメントの販売を開始。2000年に「ケンコーコム」のサイトを立ち上げて、サプリメントの販売をはじめた。

大前 研一氏

「テレビのCMなんて、誰も見たいとは思わないでしょう。ネットワーク時代には、自分のほしい商品があれば、グーグルで検索して自分から調べに行けばいいのです。

 だからこそ、グーグルの検索でトップページに表示されるかどうか、さらにいえばトップの3行に掲載されるかどうかが、大きな価値になるわけです。

 それをうまく利用して、企業の時価総額を何倍にもしたのが、私の門下生でもある後藤君です。

 ケンコーコムを立ち上げた後藤君には、マスメディアに広告を打つほどの金がない。そこで取り組んだのが、SEO(サーチ・エンジン・オプティミゼーション)--つまり、検索サイトでいかに上位に表示されるかというテクニックでした」

 後藤氏は、キーワードの設定にも工夫をこらした。テレビの健康番組で健康食品や成分が紹介されると、日本国中で何十万、何百万という人がそのキーワードを入力して検索することに目をつけたわけだ。

 そのキーワードを入力したときに、自分のサイトがトップに表示されるように工夫。関連情報を提供した上で、「ご注文はこちら」と購入を促したわけである。自社のHPがせっかく上に出てきても、注文表が同時に示されてなければ、他に行ってしまう恐れがある。一方商品の仕入れに関しては大量の在庫を置くわけにはいかないから、日本一の問屋の隣に事務所を設置。朝一番で注文を出すという方法をとったのだ。

 いわば、顧客集めと在庫という両側を他人に依存し、中央の頭を使う部分だけを自分が担当するというビジネスモデルである。

昔とは違った意味で、若い人こそチャンスがある

ハイファイオーディオの時代を知らない世代こそ未来がある
「ヨドバシカメラ・マルチメディアAkiba」の米アップルコンピュータのiPod売り場(東京都千代田区)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)

 26歳の人の多くは、12歳ごろからパソコンをはじめてパソコン歴14年。人生の半分以上を、パソコンと暮らしています。

 一方、46歳は30歳でようやくパソコンを知り、メールをはじめたのがここ7年。最近4年でようやくエクセルが使えるようになったレベルです。この両者のどちらが、「AG21年」――アフター・ゲイツ21年において、この社会をよく知っているでしょうか。それは自明です。若い人が「先輩」になる下克上の時代。「時代―年代―世代」が古い感覚と全く相容れなくなったのが今日的特徴、と言えましょう。

 こうした時代には仕事に合った「人材」を性別、年齢、国籍、に関係なくうまく使うことが、これからの企業競争力に大きく影響してくるといっていいでしょう」

 大前氏は、ここで携帯電話の使い方を例に上げて、20代の新入社員と40代の管理職を比較。ケータイを電話としか扱っていない40代にくらべて、ユビキタスの情報端末として扱っている20代のほうが、デジタル化時代に適応していると説明する。

 「こうした若い人たちを、日本の会社が生かしていないのが実情です。デジタル歴が8年、10年という新入社員に対して、デジタル歴4年程度の上司が、よってたかってダメな会社のいままでのやり方を教えているのです。恐ろしいではありませんか。

 新人教育を人事部や教育部にやらせてはいけません。せっかくの将来の芽を摘んでいるだけです。むしろ逆に、年上の上司のほうが、パソコンを持たずに携帯でできることを、若い人から学ぶべきなのです。

 ネットワーク社会というのは、年齢、性別、国籍とも関係なく、住んでいる場所にも左右されない、極めてフェアな競争のできる社会といっていいでしょう。そういう社会が、いま目の前に現れようとしているのです」

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