負の遺産は地道に解消していくしかない
韓国では、失業率も高い。特に高いのが、15~29歳の青年層だ。全体の失業率が3.5%程度なのに、青年層は7.9%に達している。
大企業と中小企業の格差も大きい。大企業では、労働組合の力が強いため、給料も高く、待遇もいいが、中小企業はそれほど恵まれてはいない。平均給料が増えたのは、大企業が引き上げたからであって、中小企業は下がっている。
日本以上のM型社会、格差社会が生まれてしまったのだ。これらはすべて、盧武鉉政権の負の遺産だ。特に外交分野においては力を入れた割には明日につながる成果が乏しい(下図)
李次期大統領は、747政策などと中身のない経済政策をスローガンにしていたが、そのようなことでは経済と外交の負の遺産は解決できない。もっと基本的で地道な政策が重要なのだ。例えば、大企業の労働組合の力を弱くする。今のような過大な要求をしてくる組合とは正面から対峙しないといけない。これは日本でも昭和20年代後半に起こったようなことである。
また男女間の差別をなくすなど、社会システムの変革も必要だ。単に女性の地位向上だけでなく、社会の受け入れ方、結婚観までの変革が求められる。大事なのは、韓国のなかを見直して、正面から向き合うことだ。男女間の融和、組合と企業の融和、そういう地道な政策を優先させるべきだろう。
選挙戦を見るかぎり、李次期大統領の経済政策は土木建設中心(ケインズ政策)で、とても21世紀の韓国に適したものとは考えられない。運河をいくら作っても高速道路が発達しているので陸送にはかなわないし、スピードや量の点でも外洋をフィーダー船で回った方が効率的である。運河は200年前の欧州大陸の発想だし、外洋が自由に使えないという北との劣悪な関係を前提としたものだ。韓国は釜山をハブとして黄海経済圏を自由に闊歩している。李新大統領が現代建設で活躍していた時代とはまるで異なる経済構造になっている。
次期大統領は過去に、計画・実現に関する実行力をあらゆる局面で示している。今の韓国にとって最も大切なことは747政策や運河のような派手な政策ではなく、地道に今の韓国の社会・経済の構造をよく分析して、時間はかかるが21世紀の大国の仲間入りをするためにはどうしても取り組まなくてはいけない上記諸課題を正面からとらえて政策を立案し、実行することだ。それが、たとえ「公約の棚上げ」と非難されようが、革新政権の10年間が残した負の遺産を解決する唯一の道だろう。
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