人々が求めるものと新しい国家の形
この新しい流れに、アジアや米国はいまだ気づいていない。19世紀的な国民国家の概念や、自由と民主主義という理念で他国を支配することはできない。
結局人々が求めているのは「豊かな生活+安全+安心」である。コソボのアルバニア人が見ているのは10年前の紛争当時とは様変わりで、民族の自立とかセルビアの呪縛からの解放、ましてやイスラムの大義、などではない。旧ユーゴスラビアの共和国が次々と調子よくグローバル経済に飛び込んでゆく。新しく作られた税制や国家運営のシステムが面白いように受け容れられ、世界から企業や資金が押し寄せる。その先にはEUへの加盟、ユーロ通貨の採用、などが見えている。現にスロベニアはそうなったし、クロアチアやモンテネグロもEU加盟の審査過程に入っている。
つまり、今回のコソボ独立の背景にあるのは民族自立という表だった理由よりも“グローバル経済の恩恵を受けたいという願望”ではないか、というのがわたしの観察である。
そうなると、国家という19世紀の概念にしがみついているセルビアやロシア、つまりコソボ独立反対派は何をしているのか、ということになる。彼らもまたEUに負けない新しい概念を提供して勝負しない限りカネと労力の浪費を続けるだけ、というわたしの予想もまた同時に付け加えておきたい。
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