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「産業突然死」の時代の人生論

大画面より小さな画面に興奮する

 Youtube における最近のヒーローは Paul Potts である。彼は英国のスター誕生みたいな番組に出場した。そして、その見かけのまずさ(歯がボロボロ、ずんぐりむっくり、など)を見ただれもがまさかと思うことをやった。素晴らしい美声でオペラを歌ってのけたのだ。その後、最終戦で優勝し、25万ドルの賞金をもらっただけでなく、今ではCDも出ている。パパロッティと重ね合わせた比較のサイトも出ているが、要はそのクラスの歌唱力と美声である、ということだ。世界中がこの“醜い”スターの誕生のプロセスを一部始終、見ることになったのである。

 先週オーストラリアの総選挙で労働党のケビン・ラッド党首が首相になった。彼は中国語がうまいという記事が出ている。こうしたときに「ラッド、中国語」という検索をすれば、彼の中国語でのインタビューや演説を見ることができる。事実、彼の中国語能力はネイティブと言ってもよいくらいである。

 「プーチン、英語」では、ロシアのプーチン大統領が冬季オリンピック誘致の演説を見事な英語でこなし、ソチに誘致した経緯が見て取れる。こうした場合に今ではほとんどの人が YouTube をビデオライブラリー代わりに使うようになっている。

 日本でもニコニコ動画など類似のサービスが台頭している。しかし今、世界では、ほぼ同時に進行するドラマを動画で見ることができるし、そこについているカウンターによって何百万人がそれを共有しているかが分かるのである。

 このようにして YouTube は1年足らずでマーケティングのあり方を一変させてしまった。それはもはや不可逆的な社会現象であり、一般消費者を対象とするすべての企業は、この新しいネットメディアへの対処法を、真剣に考える必要に迫られている。

 また日本では役所やテレビ業界が地上デジタル、大型フラットスクリーンと、消費者の動向を無視した一方的な未来図を描いてきたが、YouTube による「小さな画面の興奮」の方がどうやらインパクトが強いということも明らかになってきている。他にもいろいろと理由はあるが、2011年の地デジ移行という「大本営発表による国家プロジェクト」の見直しも必要になってきているのではないかと思うくらい YouTube 出現の影響は大きくなっている。

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