第102回
投資したくない国、日本
経営コンサルタント 大前 研一氏
2007年11月7日
今、世界的な規模でM&A(企業合併、買収)のブームが起こっている。国連貿易開発会議の発表によると、海外直接投資の額は3年間連続で増加し、2006年は前年比38%増の1兆3059億ドル。日本円にして約152兆円に達する。
ご存知の読者も多いだろうが、念のため「海外直接投資」について簡単に説明しておこう。海外直接投資は、その名の通り外国企業に投資をすることだ。ただし、通常の投資家による株の取引とは目的が違う。投資家は株の売買によって得られる売却益や配当が主たる目的である。それに対して海外直接投資は、経営にも積極的に関与していく意味合いが強い。そのため、企業合併・買収(M&A)はもちろんのこと、海外に法人を設立する、海外企業とパートナーシップを結ぶ、などの形態を取ることが多い。
上のグラフは2000年以降の海外直接投資額の推移を示したものだ。2000年をピークにずっと低迷していたのだが、ITバブルが崩壊した後に徐々に回復してきて、やっとピーク時に近いレベルにまで戻ってきたことが見て取れるだろう。
そしてこのグラフから、ある重要なことが読み取れる。それは発展途上国と旧ソ連圏の割合が増加していることだ。もはや海外直接投資は米国をはじめとする先進国だけのものではない。「第三世界」などと、いわば否定的なニュアンスで呼ばれていた国々が、現在では世界経済の中では無視できないところまで発展してきたということだ。
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