第100回
小泉改革の目玉「郵政民営化」のなれの果て
経営コンサルタント 大前 研一氏
2007年10月24日
郵政民営化がスタートした。今年(2007年)10月1日、日本郵政公社は、持ち株会社となる日本郵政株式会社と、郵便局株式会社、郵便事業株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険 ―― の四つの事業会社に分社化された。社員数は24万人、店舗数は2万4000店、金融2社の資産は実に335兆円という巨大企業グループに生まれ変わったのである。
小泉改革の目玉であった郵政民営化なのだが、わたしの目には小泉元首相が考えていた姿とはずいぶん違ったものになったと映っている。単純な話、当初、確かに存在していたはずの民営化の理念はどこにも見当たらない。
小泉時代から「民営化したら民業が圧迫される」「きちんと分社化しないと民営化の意味はない」などの指摘があり、小泉元首相は「民業圧迫はしない」「公平競争を確保する」と明言していた。しかし新会社がやろうとしていることを全部やってしまったら、間違いなく民業は圧迫されるだろう。それに、四つの事業会社は、バラバラに事業を行うとは言っているが、どうせ「やっぱり一緒にやります」と言い出すことになるのは目に見えている。
今にして振り返れば、小泉改革のときのあの検討は何だったのだろうかとため息の一つもつきたくなるというものだ。財務省の立場で考えれば「お金を集めて裏で国債を買わせて、国の借金を肩代わりさせよう」ということだろう。これでは民営化しても以前と同じで、変わらないではないか。
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