畳の材質と燃焼性を住まい手に知らせよう
化学畳の防湿性が消火を妨げたように、火災時には住宅の平時のメリットがデメリットに変わることもある。佐世保の住宅は土台と基礎との間にスリットを設けて、通気性を向上させていた。これが床下の燃焼を助長した可能性もあると、石田さんは指摘する。
写真2 火災現場のうち土台と基礎の部分。通気のためのスリットが床下の燃焼を助長したとの見方も出ている
自社の住宅の工法や部材が火災時などにどうなるかを予測し、対応策を住まい手に伝える――住宅会社が危機管理能力を高めようとするならば、そうしたことも仕事のうちに入ってくるだろう。
■これだけは気をつけよう!
1.使用した畳の材質を住まい手に伝えておく
2.化学畳は少しでも火災に遭ったら屋外へ出すようにする
3.風通しのよい床下は、火災時に火を広げる恐れもある
【事件ファイル】化学畳の残り火から再出火
■事件の概要
2005年12月5日の夜から6日の未明にかけて、長崎県佐世保市内の木造平屋住宅で、同じ和室から二度にわたって火災が発生した。暖房機にかかっていた衣類が一度目の火元だった。そのときはボヤで済んだが、約7時間後に二次火災が発生して住宅は全焼した。住まい手にけがはなかった。
佐世保市消防局は和室の実大模型を使って再現実験を実施。透水性がない化学畳の内部でポリスチレンフォームが溶け、その空洞に空気が送り込まれてボヤの残り火がくすぶり、やがて燃え広がったと推定した。市消防局はさらに、畳表に水道水を2分間かけた後に40分間放置しても、化学畳内部の繊維板の裏側には水が全く浸透していないことも確認した。
地元の畳の業界団体は、火災時の化学畳の正しい取り扱い方を消費者に伝えるパンフレットを作成中だ。
日本繊維板工業会専務理事の姫野富幸さんは、「繊維板を畳床に使った畳の軽さは施工者に好評。火災時に屋外へ運び出すにも好都合なはずだ。住宅会社には畳の材質にもっと関心を持ってもらいたい」と話す。
火災現場。右上にある床板のコーナー部分が最も激しく燃えた。
(写真提供/佐世保市消防局)
日経ホームビルダー(2006年5月号)
上記の記事「住宅事件簿:化学畳の残り火から出火」は,『日経ホームビルダー』2006年5月号に掲載された記事です。
『日経ホームビルダー』は、工務店、ハウスメーカーをはじめ設計事務所、建材・設備会社などで戸建て住宅の設計、施工に携わる方々に、住宅の性能、コスト、顧客ニーズへの対応など技術や営業、経営、市場に関する最新情報やノウハウを読みやすく、わかりやすく紹介する実務情報誌です。
『日経ホームビルダー』のコンテンツや最新号の記事エッセンスなどについては,こちらのサイトでご覧いただけます。
『日経ホームビルダー』の年間ご購読の申し込みは,こちらで承っておりますので,どうぞよろしくお願い致します。
この連載のバックナンバー
- 内陸に広がる「最悪のシロアリ」 (2008/09/24)
- スズケン:取引先を巻き込み事業継続を実現 (2007/04/27)
- 日本ベーリンガーインゲルハイム:基幹システムが消失しても48時間で再構築 (2007/04/17)
- アサヒビール:非常時には社員のノートPCで基幹系を代替 (2007/04/09)
- アステラス製薬:IT部員全員の連絡が途絶えても、バックアップの起動は死守 (2007/04/05)

