新築住宅の畳の大半を占める化学畳。防湿性に優れ、軽量でカビやダニが発生しにくいといった長所をもつが、水はしみ込みにくい。ある火事で消防隊がいったん消火したものの、内部でくすぶる残り火を見逃し、二次火災が発生した。
文/池谷 和浩
2006年5月9日
昨年12月5日の午後7時ごろ、長崎県佐世保市内の築14年の木造平屋住宅で火事が起こった。火元は子供部屋として使われていた和室で、6歳の女の子がハロゲンヒーターにかけて温めていたガウンだった。
火はハロゲンヒーターのプラスチックを溶かして子供部屋の床や壁に燃え広がったが、駆けつけた消防隊が水道水で消す程度のボヤで済んだ。
午後9時ごろ、住まい手は念のため子供部屋の様子を見に行った。そのときは完全に鎮火したようにしか見えなかったという。
「鎮火」の7時間後に畳の内部から出火
ところが午前2時過ぎ、もう火の気はなかったはずの子供部屋が再び燃えていることに住まい手が気づき、119番に通報した。消防隊が通報を受けて現場に着くまでにかかった時間は約10分。ボヤのときの倍だった。火災は化学畳の内部から発生した。住まい手が出火を確認する以前から「煙を上げずに燃焼する状態が長く続いていたと考えられる」(市消防局予防課課長補佐の石田良文さん)。住まい手は無事に避難したものの、延べ面積約110平米の住宅は全焼した。
市消防局が焼け跡を調べると、二度目の火災はハロゲンヒーターが置かれていた場所の真下ではなく、約30cm離れた畳の縁と壁とのすき間辺りから起こっていた。
すき間からボヤの火が入り込み、残り火がくすぶり続けて燃え広がった、と市消防局では推定している。
子供部屋として使われていた和室でボヤが発生。いったん鎮火したかに見えたが、畳内部の残り火のため、約7時間後に二次火災が発生。住まい手は無事に避難したが、住宅は全焼した。イラスト/勝田 登司夫
化学畳の再燃による火災の記録は、長崎県だけでなく全国のどの消防本部にも残っていなかった。地元の畳の業界団体である長崎県畳工業組合にも、そうしたデータはなかった。市消防局は燃えた和室の一部の実大模型を製作し、同じ材質の畳を据えて、火災の再現実験を実施。その結果に基づいて火災の原因を推定し、今年1月に発表した。
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