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書評

3種類のインフルエンザを区別し3種類のワクチンを求めよう

 これまで、本欄では3回にわたって、新型インフルエンザに関する書籍を取り上げてきた。結論として言えるのは、政府、地方自治体、企業、そして個人、それぞれの事前対策がすべてかみ合い、お互いに補い合うことが必要だということである。政府を責めるのは簡単だし、実際に対策の遅れを指摘する必要はある。しかし政府の対策だけでパンデミックを迎撃できるわけではない。わたしたち一人ひとりが家庭で行う対策が必要なのだ。そして家庭の対策だけですべてが足りるわけではない。あなたの勤務先、あなたの住む地方自治体がきちんとした対策をしなければ、個人の努力を無にしてしまうのである。

 どこが欠けてもいけない。すべての対策がそろって初めてパンデミック対策は万全に機能するのである。

 そのためには、政治家、厚生労働省の職員、医療関係者から、国民の一人ひとりに至るまでが、新型インフルエンザに対する正確な知識を持つ必要がある。

 その第一歩は、まず「従来のインフルエンザ」「鳥インフルエンザ」そして「新型インフルエンザ」を区別するところから始まるだろう。ここまでの書評を読んできたあなたは、これらの三つを区別できるだろう。

 従来のインフルエンザは、弱毒型、つまり上気道にしか感染しないインフルエンザウイルスによる病気だ。高い熱が出るが、高齢者などハイリスク群以外はまず死ぬことはない。

 鳥インフルエンザは、現在鳥の世界でパンデミック状態になっている強毒型のインフルエンザである。鶏を100%殺すが、人には濃厚接触しない限り感染しない。ただし人に感染した場合、致死率は50%を超える。全身の臓器に感染し、多臓器不全を起こし、ウイルスが血液中に回るウイルス血症を起こす。

 新型インフルエンザは、鳥インフルエンザから出現することが予想される、強毒性のウイルスによる感染症だ。鳥インフルエンザの毒性と、従来のインフルエンザの感染性を併せ持つ。新型インフルエンザの出現は、確率的な問題であって、いつどこで発生するかは予想できない。しかし、現在鳥インフルエンザが鳥の世界でパンデミック状態ということから、近い将来出現する可能性は非常に高いと考えられている。

 ひとたび出現すると、ほとんどの人が免疫を持っていないために、世界全域での大流行(パンデミック)を引き起こすことになる。

 この三つを理解した上で、わたしたちは3種類のワクチンを用意し、パンデミックに備えねばならない。

 プレパンデミックワクチンとパンデミックワクチンは政府にしか用意できない。わたしたちは政府に対して、これらの備蓄や生産の準備、そしてパンデミック発生時の迅速な接種体制の整備を要求していかなければならない。

 しかし、最後のワクチン、「知識のワクチン」は、個人の決心で今すぐ準備を始めることができる。新型インフルエンザがどのようなもので、パンデミックに向けて何を準備すべきなのか ―― 正しい知識は、正しい準備のために必要だ。それは、パンデミック発生時の正しい行動につながる。

 そしてなによりも、「知識のワクチン」は、パンデミック発生時にパニックを防ぐのに役に立つのである。

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