松浦 晋也氏
2007年8月27日
井出壮平著
早川書房
2007年3月発行
1575円(税込み)
実に面白い本だ。2006年に起きた消費者金融、通称サラ金のグレーゾーン金利撤廃を巡る、業界、官庁、外資、政治家などの駆け引きを、共同通信記者として現場で取材していた著者がまとめたものである。コンパクトにまとまっているが、グレーゾーン金利とは何か。そもそも消費者金融業界にはどんな問題があったのか、誰がどのような思惑でどう動いたのか、結果として何がどうなったのかといった、知りたいことが、十分な密度で記述されている。
わたしとしては、ビジネスマン必読の一冊であると思う。
グレーゾーン金利については、当時マスメディアで何度となく解説されたから、覚えておられる人も多いだろう。
1954年以降、日本の貸し付け金利の上限は二つの法律で定められてきた。一つが、出資法で年29.2%を上限とする。こちらの法律には罰則規定がある。
もう一つが利息制限法で、貸付金額に応じて利息の上限を定めている。10万円未満なら年20%、10万円以上100万円未満ならば年18%、100万円以上なら年15%。こちらには罰則規定がない。
出資法と利息制限法の間の金利、つまり29.5%と、20~15%の間の金利をグレーゾーン金利と呼ぶ。罰則のない利息制限法では違法だが、罰則規定のある出資法では合法となる金利だ。
出資法は刑事法であり、利息制限法は民事法という区分はある。しかし、同じ金利というものに対して、法律がダブルスタンダードを許してきたのである。
長年、消費者金融業界では、グレーゾーン金利は合法であるとして高い金利を採用してきた。監督官庁である旧大蔵省、そして現金融庁は、メインストリームである金融・証券業界の監督に力を入れており、消費者金融への監督は後回しになっていた。
ところが、2006年1月13日、最高裁判所が、グレーゾーン金利は違法であるとする判決を下した。消費者金融大手アイフルの子会社であるシティズが、債務者に債務返還を求めて起こした裁判で、グレーゾーン金利の有効性が争われることとなり、最高裁はグレーゾーン金利は違法であるという判断を下したのであった。
金融庁は、判決に対する対応、すなわちグレーゾーン状態の解消を迫られることになった。
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