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書評

ネットで交錯する健常者と障害者?

 同時に、わたしは、軽度知的障害者と健常者とが奇妙に交錯している可能性も感じている。

 以下は、あくまで一つの根拠薄弱な仮説として読んでもらいたい。

 「ドキュン/ドキュソ」という言葉を思い出そう。主に匿名掲示板の「2ちゃんねる」を中心に用いられる言葉で、「人生に確固たる目的も持たず、反社会的な行動をとったり、自堕落な生活を送る者の蔑称」(2ちゃんねる用語を集めた「2典」より)という意味を持つ。「ドキュソ」で検索をかければ、用例は数え切れないほど見つけることができる。

 例えば匿名掲示板に、延々と誰か別人の書き込みをコピーして延々とペーストしたり(「コピペ」という)することは、「ドキュソな行い」ということになる。

 コピペのような迷惑な「ドキュソ」行為は、人格未熟な者が自己顕示欲の発露として行うというのが大方の定説となっている。だが、ひょっとして、ネットに巣くう「ドキュソ」の中には、きちんとネットリテラシーに関する教育を受けることができなかった、軽度の知的障害者が混ざっている可能性はないだろうか。

 証拠が皆無なので、単なる一つの可能性として書き留めるのみとするが、わたしは2ちゃんねるに代表される匿名掲示板に現れる、どうしようもなく息苦しいコピペに、知的障害の影を見てしまうのだ。

 工夫のなさに能力の不足を、そして執拗な繰り返しに窒息しかけている自己顕示欲を感じるのである。

 知的障害者であろうと自己顕示欲はあるし、生きていくのにプライドは必要だ。ネットにアクセスしてこないということもないだろう。

 そしてなによりも、健常者と知的障害者の間は、明らかな断絶があるわけではなく連続しているのである。

 ここまで書評を書いてきたつもりだったが、どうしても結論めいたことを書くことができない。わたしは本書に打ちのめされた。とにかくすべての人に読んでもらいたい本だ。

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