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書評

出所した障害者たちに行き場はない

 これぐらいは、本書の序の口だ。第3章では、無実の障害者を犯人に無理矢理仕立て上げてしまう警察と、障害者を多数養子にして障害者年金を巻き上げる暴力団関係者が登場する。

 第4章が扱うのは知的障害者の売春である。彼女らは「みんな喜んでくれるから」とあっけらかんと売春行為に走る。セックスをコミュニケーションの一種としてとらえるなら、彼女らは知的障害故に得られない他人との交流を、売春という形で得ているということになる。だから喜んで体を売るわけだ。もちろんそこには、彼女らを搾取する暴力団関係者が見え隠れする。

 第4章と5章は、ろうあ者を巡る犯罪が焦点となる。第4章では、ろうあ者が起こした殺人事件が扱われる。ろうあ者が手話を使った独自のコミュニティーを形成しているということは、以前本欄で紹介した「サイボーグとして生きる」でも取り上げられていた。本書では、ろうあ者が、閉じたコミュニティー以外の人々との間で通用する社会常識を身につけ損なっている可能性を指摘する。

 第5章では、ろうあ者のみで構成された、ろうあ者を食い物にする暴力団という、信じがたい組織の実態を追求する。ろうあ者が、ろうあ者にしか通用しない手口でろうあ者から搾取しているというのだ。

 終章では犯罪者となった障害者が直面する困難な状況が取り上げられる。2001年に発覚した女性監禁致死事件では、事件を起こした一家全員、そして被害者までもがなんらかの障害を抱えていた。

 犯人である一家に対して、犯罪行政も福祉行政も一様に冷たい。出所者の更生保護施設は、障害者を引き受けるに必要なノウハウを持ち合わせていない。福祉施設は犯罪者の引き取りをいやがる。もちろん犯罪からの更生は、福祉施設の担当外だ。

 著者は自分が獄中で出会った障害者たちのその後を尋ね歩く。「ホームレスか、ヤクザか、閉鎖病棟か」という小見出しが全てを表している。

 一体どうすればいいのか、本書に結論はない。

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