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書評

松浦 晋也氏
2006年11月10日

「累犯障害者」
「累犯障害者」

山本譲司著
新潮社
2006年9月発行
1470円(税込み)







服役中に発見した大変な社会問題

 2002年、衆議院議員が、秘書給与の流用を行い、有罪の判決を受けて服役した。それ自体は「またかよ」と言わねばならない事件だった。「いつ塀の中に落ちるか」と言われつつも決して逮捕されることなく、今や長老と呼ばれるようになった大物政治家がいることを考えれば、この議員は愚直であり「間抜けだったんだ」と片づけている人もいるかも知れない。

 だが、今や元議員となった著者は、刑に服した獄中において、今現在の日本社会で進行しつつある大変な問題を発見し、俗世間へと帰還してきた。

 障害者、なかんずく知的障害者によって引き起こされる犯罪である。

 障害者は障害を持つが故に犯罪に走るというような単純なものではない。障害者は障害者であるが故に社会から疎外され、健全な心身の成長も、就業による社会参加をも阻まれ、その結果として犯罪の岸辺へと吹き寄せられていくのだ。

 この問題を、マスメディアはほとんど報道しない。不注意な報道は差別を助長しかねないし、報道したことによって世間的に非難される可能性もある。微妙な問題は、タブーとして触れないようにするのが一番簡単だ。

 しかし、見ないふりをしても、問題は厳然として存在している。本来、障害者のケアは福祉の領域の問題だ。だが、福祉からこぼれた障害者のなかには犯罪に手を染めて刑務所によってケアされる者が少なからずいるというのである。

 本書は、かつて刑に服した経験のある著者が、障害者による犯罪の実際を尋ね歩いたルポルタージュである。序章と終章を含めた全7章で描かれるのは、我々の想像以上に複雑な様相を示す、障害者による犯罪の根深い病根だ。決して大部な本ではなく、文章量としてはわりと短時間に読み切れる本だが、その内容は一貫して重苦しい。

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