自己犠牲を自ら捧げる日本人のメンタリティー
本書を離れて考えてみると、私は、日本には著者が指摘した以外にもデスマーチが横行する原因があるように思う。本書では「海兵隊方式:本物のプログラマーは寝ずに働く!」という原因が挙げられている。「つらい労働なくして結果などない」という思い込みのことだ。著者のヨードンは、プロジェクトマネジャー側がスパルタ鬼軍曹のようにプロジェクトのメンバーに自己犠牲を強いることを想定している。
これが日本の場合、労働現場において逆転して「こんなにつらい思いをしているのだから、きっと良い結果になる」あるいは「結果が出ないのは、まだつらい思いをし足りないからだ。もっともっとつらく頑張れば成功する」という方向に向かう傾向があるように思えるのだ。
メンバーが、「うまくいかないのは犠牲が足りないせいだ」と、自ら一層プロジェクトをデスマーチへと追い込んでいく傾向があるのではないだろうか。
つらい労働とプロジェクトの成功。そこに因果関係はあるのだろうか。むしろ過重労働はミスを誘発するのでプロジェクトにとっては危険因子である。しかし、「自分の苦痛をどこかにいる神に供物として捧げればプロジェクトは成功する」というアニミズム的感覚を、我々は心のどこかに宿していないだろうか。
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