松浦 晋也氏
2006年6月8日
本書の冒頭に「ベテラン連中が参加したプロジェクトは、すべてデスマーチプロジェクトなのだから」という一文がある。いきなり読者はアッパーカットを食わされる。プロジェクトはすべからくデスマーチ(死の行進)だって、それはどういうことだ?
希望が悲鳴に変わっていく
物事を立ち上げる時は、大抵楽しい。あんなことがしたい、こんなこともしたい、あんなことができたら便利だろう、こんなことが実現できたらきっと世間は驚くに違いない ―― 希望は膨らみ、希望とともに最終的に作り上げるべき成果もまた膨らんでいく。
ところがひとたび実際の開発に入ると、「ああしたい、こうしたい」という希望はかなりの場合、「こんなはずじゃなかった!」という悲鳴に飲み込まれていく。
思ったような結果が出ない。スケジュールが遅れていく。その一方で締め切りは動かない。さらにはある程度開発が進んでから「ここはこうしたほうがいい、ああしたほうがいい」ということも分かってきて、仕様が変更される。仕様が変われば関連する部分はやり直しだ。また締め切りがきつくなる‥‥最後に破滅がくる。プロジェクトの失敗だ。
「事前の詰めが甘かったからだ」「単なる準備不足」と切って捨てるのは簡単だ。しかし、なぜ多くの開発計画でこのような事態が発生するのだろうか。そこには当事者の準備不足以上の、構造的要因が存在するのではないだろうか。
本書は、おもにソフトウエア業界で発生する過酷な開発プロジェクトを「デスマーチ」と命名し、その原因や対策を分析したもの。原著は1997年に出版されて話題になり、「人月の神話」(フレデリック・P・ブルックス,Jr著、ピアソンエデュケーション刊)とともに、プロジェクトマネジャー必読の名著とされている。今回、内容を全面的に見直し、エクストリームプログラミング(XP)をはじめとした新しい開発手法についても言及した第2版となって刊行された。
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