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迷惑メール、「受け取らない」から「出させない」へ

2006年10月6日 9時37分

いまやビジネスにも日常生活にも欠かせないコミュニケーションインフラとなった電子メール。だが一方で、無差別に送りつけられる迷惑メールが社会問題化している。

インターネット普及初期のころの迷惑メールは、単なる広告宣伝の無差別大量送信だったが、最近の迷惑メールはさらに悪質だ。脅迫や詐欺を目的として個人情報を抜き取るものや、巧妙な件名をつけて開かせることでウイルス、ボットなどへの感染を目的としたものなど、もはやサーバーや回線の負荷といった問題だけではかたづけられないところまで問題は深刻化している。

さらに驚くべきことは、迷惑メールを送信する仕組み自体が、ボットを使った分散処理に移行しており、他人のパソコンを使った迷惑メール送信が闇のビジネスの市場として成立しているという。ひとたびウィルスに感染し、ボット化してしまえば、知らないうちに自分のパソコンが迷惑メール送信という犯罪に加担してしまうことになる。

もちろん行政やISP各社をはじめとするネットワーク管理者達が手をこまねいているわけではなく、メールを受け取らない、送らせないための様々な法整備や技術的な対策が取られてきている。本稿は、迷惑メールの現状と最新の対策技術についてのレポートである。

■迷惑メール対策の難しさ

迷惑メールが社会問題化して久しいが、ますます増加している。その数は、2006年2月から7月の半年間で2倍にも増えている。

半年で迷惑メールの数は2倍に増加しており、いまや、メール全体のほぼ6割が迷惑メールであるという状況だ。その現状や対応について考えるにあたっては、まず「迷惑メール」の定義を明確にする必要がある。

IIJの山本和彦氏は、「迷惑メールとは、「受信者の意思に反して送受信されるメール全般」である」と定義する。ここで重要なことは、迷惑メールかそうでないかは、メールの内容や形式ではなく、「受け手にとってそのメールが迷惑かどうか」ということで判断されるということだ。

広告、宣伝を目的とした、いわゆるダイレクトメールと迷惑メールの区別は非常にあいまいだ。同じ内容のメールが、受け手によって、迷惑メールにもなればダイレクトメールにもなる。「たとえアダルトコンテンツの未承諾広告であったとしても、そうした情報を欲する人にとってはそれは迷惑メールではないのです。これはすなわち、ISP側の一方的な判断で迷惑メールとそうでないメールを機械的に区別することができないということも意味しています」(山本氏)

もう一つ、日本における迷惑メール対策で重要なことが、憲法で保障されている「通信の秘密」の原則との整合性である。ユーザーが送受信するメールの内容を見て送受信を制約することは、一歩間違えばISPによる検閲にもつながりかねない。この点に配慮して、総務省では、迷惑メールフィルターについて、「ユーザーが、自分の意思で導入しなくてはいけない」という見解を示している。後にも述べるが、ISP側では、メールサーバー側で、迷惑メールと思われるメールに「SPAM」というヘッダーを付与するなど、ユーザーの利便性を高める工夫をこらしているが、実際にそれを受信するかどうかを決めるのはあくまでもユーザー自身なのだ。

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