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ITのBCPとして、コンピュータ停止時への対処を実施
森永乳業事例

2007年6月29日 15時10分

タイムリミットは3時間という現実を直視

「日持ちしない商品を扱っている業務の性格上、受発注ネットワークを止めることができません。コンビニや大手スーパーマーケットの場合、受注から出荷まで3時間がリミットです。そのため、受注から出荷までの流れを絶えさせることができない。コンピュータを止めないためにはどうすればいいのか、というところから、いろんな取り組みをしてきました」と、情報システム部の小林昭部長は、鮮度が求められる乳製品業界のタイトさを語った。

情報システム部システム運用課の横尾浩司課長代理は「コンピュータが止まってしまうと業務が止まってしまうので、コンピュータを止めないようにするにはどうすればいいのか、というところでシステムを構築しました。それが全体としてBCPのIT部分をやったことになるのかもしれません」と付け加えた。

かつて、同社の受発注システムを担当するホストコンピュータは、全国4か所に分散していた。そのため、その地域で災害が起きホストコンピュータが止まっても、その地域だけの問題で済んだ。ところが、コンピュータの集中化の流れに沿って、森永乳業としてもホストを1か所に集約することになった。そのときに起きたのが1995年の阪神淡路大震災だった。

阪神淡路大震災でホストコンピュータが止まった

「当時はまだ分散処理をやっていたので、兵庫県西宮市にある近畿工場に関西・中四国を担当するホストコンピュータがあり、受注、出荷処理をやっていました。それが震災で3台中2台が使えなくなり、近畿地方の受注出荷ネットワークが止まってしまいました」(横尾課長代理)

被害のほとんどない中国地方や四国地方からは続々と受注データが送られてくるものの、受け取るホストコンピュータが動いていない。そのため、関西・中国四国での事業活動はストップしてしまった。

「すでに大手の量販さんはEOSオンライン受注システムを導入しており、こちらから先方のコンピュータへ受注データを取りに行くようになっていましたが、それができなくなってしまったんです」(小林部長)

近畿工場のコンピュータが復旧するまで、2週間ぐらいかかったという。出荷業務は東京や中京工場の、別のコンピュータで引き受けるようにして、2、3日後には業務は再開できた。

小林部長は、震災でわかったポイントのひとつとして、メールが活用できたことを挙げた。「当時、固定回線の電話はかなり長期間不通になっていましたが、社内メールは被害があまりなく、すぐ使えるようになって、連絡手段として活用できました。メールは大事ですね」。

「当時はまだ携帯電話が出始めで、社内にも5、6台しかありませんでした。固定電話はほとんどかからない、外からはまずかからないが、中からはたまにつながるという状態でした。その中で、専用回線のデータ回線は生き残っていたので、メールは使えました」(横尾課長代理)

さがみ野に集約、戸田にバックアップセンター

90年代に、同社は地方に分散していたホストコンピュータを廃止し、さがみ野(神奈川県座間市)にあるコンピュータセンターに集約して一元管理する体制を構築していた。

「さがみ野は、東海沖大地震が来ても安全とは言われているのですが、万が一そのコンピュータが使えなくなったら、会社が業務遂行できなくなってしまう。そのため、バックアップセンターを設置して非常時に備えるようにしました」(小林部長)

バックアップセンターは埼玉県戸田市に設置した。

「最初、近すぎて何かあったら両方被害が出るのではないか、バックアップにならないのではないか、大阪とかもっと離れたところに置いたほうがいいのではないかという意見もありました。しかし、総務省のガイドラインで、3~40km離してあれば、同時に倒れるほどの被害が出ることは有り得ないだろう、というので、その場所を選びました」(横尾課長代理)

障害発生時に、リモートでメンテナンスができる業務と、人が行って操作しないといけない業務があることからも、大阪など遠く離れた場所は難しかったという。

「オンライン系は無人でも自動的に切り替えできるだろうけれど、バッチ系はどうしても人が行って操作しないといけない、データを持っていかないといけないので、それができる距離にバックアップセンターを置く必要があります」(小林部長)

横尾課長代理は「人が行ける距離を考えれば、あまり遠くないほうがいいでしょう。それに、システムの立ち上げ自体は無人で自動的にでいいのですが、その後、処理を回していく中で、やはり人がいたほうがいいですし、行ける距離にしましょう。そして行ける距離だけど一緒にダメージを被ってはしょうがないので、さがみ野と戸田という位置になりました」と付け加えた。

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