このページの本文へ
ここから本文です

タタ・モーターズを止めた“住民力”

2008年10月3日 17時13分

■「GQ」沿いの工場が生み出す“生態系”

タミル・セルバンは29歳。「黄金の四角形(GQ)」と呼ばれる新しい高速道路のおかげで人生が変わった。インド南部タミルナードゥ州の村で育ったセルバンは、父親の自転車に乗って数km離れた大きい村の学校に通えるようになったのだ。その後、近くの町の技術訓練校で学び、現在は州都チェンナイにある韓国の自動車メーカー、現代(ヒュンダイ)自動車の工場で働いている。GQがなかったら、いまごろまだ、村でココナツ栽培をしていたことだろう。GQ沿いに建つ工場で主任技術者を務めるセルバンは、組み立てラインに乗って流れてくる金属製の車体を点検し、傷があれば補修する。一つの工程にかかる時間は平均64秒。完成した自動車は、塗装と仕上げを施され、トラックに積まれる。

トラックに積まれた自動車は、GQを通ってチェンナイの港に運ばれ、世界中に出荷されていく。セルバンはこの仕事に就いて10年になるが、いまでも感慨にふけることがあるという。熱を込めてこう語ってくれた。

「ここでつくっている自動車の一生を想像してみてください。厳しい気候や悪路に耐えながら、世界中の道を走る。そんな車がここから出発するんです」

2.16km2の更地だったこの場所に、1998年、ヒュンダイは工場を建設した。セルバンは工場の開設時に採用された一人だ。従業員は現在5400人。質の高い労働力が認められ、インドは新たな製造拠点として、世界中から注目を集めるようになった。

同社をはじめとするGQ沿いの工場は、それぞれの“生態系”をつくりあげている。つまり、大きな工場で細かな部品などの需要が発生すると、起業精神の旺盛なインド人が近隣に会社を設立して請け負うのだ。たとえば、ヒュンダイの工場の周辺には83社の中小企業があり、フロントガラスや留め具、ヘッドライト、バックミラーなどの部品を製造している。

記事検索 オプション

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る