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電気自動車を主役の座に押し上げた電池技術

2008年10月1日 17時44分

■EV支えるバッテリーの進化

2008年6月、東京から札幌市の北海道庁までの858.7kmを、富士重工業「スバルR1e」と三菱自動車「i MiEV(アイ ミーブ)」の2種類の電気自動車(EV)が走破した。このキャンペーンを実施したのは市民団体「日本EVクラブ」。このときのR1eの燃料費(電気代)は、たったの1713円だった。もちろん、燃料費を節約できただけではない。二酸化炭素(CO2)排出量も大幅に少なく、R1eのベースとなった軽自動車「R1」で走行した場合の排出量が1台あたり174.74kgだったのに比べ、EVは5分の1の35.12kgですんだ。

走行時に石油系燃料を使用しない、“クリーン”な乗り物として大きな期待が寄せられるEV。2009年には三菱自動車と富士重工が、さらに2010年度以降になるが、日産自動車やトヨタ自動車が市場投入する方針を発表している。しかし、その普及を進めるうえで大きなカギを握っているのが電池と充電インフラだ。

EVは「航続距離が短い」「販売価格が高い」「搭載しているバッテリーが大きいために車内スペースが十分に取れない」などの理由で、これまで普及しなかった。有限責任中間法人電動車両普及センターによると、15年以上の販売実績がありながら、保有数は、2007年末で約9400台にとどまっている。その最大の理由は、搭載するバッテリーの能力不足。しかし、ここに来て、電池の性能向上が急速に進み、いよいよ自動車メーカー各社が本格的な販売を決断したのだ。「EV充電ネットワーク」の構築に動く神奈川県では、EV対応住宅が年内に発売されるなど、周辺の関心も高まっている。

EV用電池の開発については、これまで「3つの波」があった。1970年代のオイルショックの頃に登場したEVに使用されたのは、自動車のバッテリーとして実績があった鉛電池。しかし、価格は安いが、自動車の駆動に使用するにはエネルギー密度(重量あたりのエネルギー量)が低く、蓄えられる電気の量が乏しかった。その後、1990年代に現れたニッケル水素電池は、電極に鉛などの有害物質を使わないうえ、鉛電池の2倍以上と高いエネルギー密度が得られることから、現在のハイブリッド車やEVなどに搭載されるようになった。

一方、ニッケル水素電池にわずかに遅れて登場したのが、第3の波であるリチウムイオン電池だ。電極には主にカーボン(負極)とリチウム化合物(正極)が用いられ、これまでの電池に比べるとエネルギー密度が飛躍的に高まり、鉛電池の3倍近くになった。この結果、搭載するバッテリーが大幅に軽量・小型化され、EVの車内空間を十分に確保できるようになり、車輌重量もかなり軽減された。三菱自動車は、電池パックの重量が車重の20%以内になることを「実用」の判断基準としているが、2009年に発売するi MiEVでは、ベースになったガソリン車の「i(アイ)」に比べると車体重量は200kgほど重いが、電池パックが占める重量は20%以下に抑えることができたという。

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