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活版印刷・嘉端工房を訪ねる

2007年2月19日 10時42分

東京の飯田橋と江戸川橋の中間あたりは、大小の印刷会社や、「取り次ぎ」と呼ばれる、本や雑誌の流通を仕切る「問屋」が集まっているエリアだ。多くの産業がそうであるように、これらの業種も高度経済成長とともに発展した歴史をもつ。いま街は、少しくたびれた中層のビルが、首都高の周りでひしめいている。

嘉端(かずい)工房は、そんな街の一角にぽつんとある。気にしていなければ、間違いなく通り過ぎてしまいそうな、素っ気ないサッシュの入り口。活版印刷を専門にしている印刷会社だ。

「活版印刷の最盛期がいつかと聞かれても……。あえて言うなら、うちは今が最盛期ですよ」と、三代目の高岡昌生さんは言う。その言葉には、「ほかの印刷会社がほとんど活版印刷をやめてしまった今となっては」という前置きが込められているのだけれど、嘉端工房の場合は、成り立ちと経歴がそもそもほかの印刷会社とは異なっている。

活版印刷が日本に入ってきたのは、幕末から明治時代にかけてのこと。鉛とスズとアンチモンを鋳造してつくる「活字」を、原稿どおりに一文字ずつ組んで版をつくり、それを印刷する凸版印刷技術の一種である。戦後しばらくして「写植(写真植字)」で組版をするオフセット印刷が盛んになるまでは、大半の文字印刷物は活版で刷られていた。

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