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ATMの故障が誘発した犯罪
24歳の青年が17万5000元を手にした代償は無期懲役

2008年3月7日 9時45分

銀行口座の残高は2万円しかないはずなのに、ATM(現金自動預け払い機)から1万円を引き出そうとして、間違って引き出し額を1ケタ多い10万円と打ち込み、画面上の数字を確かめもせずに「確認」と入力したところ、何と不思議なことに現金10万円が出てきた。発行された明細表を見ると、そこにプリントされていたのは、引き出し額は1000円で残高が1万9000円。「そんな馬鹿な」と明細表をしげしげと確認し、現金を数え直したが、明細書に印字されている引き出し額は1000円であり、手元の現金が10万円であることは間違いない。

そこで質問。“もしATMから現金を引き出そうとして、同じ状況に遭遇したら、貴方ならどうしますか?”。銀行(あるいは警察)に届けますか?そのままネコババしますか?この驚くべき事態に遭遇した人物が、中国広東省の省都、広州市に実在したのである。

2006年の年初に山西省襄汾県から広東省広州市へ出稼ぎにやって来た許霆は、当時24歳。広州市に到着後、友人の紹介で広東省最高人民裁判所の警備員の職を得た。それから3カ月後の4月21日金曜日の夜10時頃、勤務を終えて同僚の郭安山と連れ立って宿舎へ帰ろうとした許霆は、郭安山を人民裁判所側に待たせて、通りの向こう側にある広州市商業銀行のATMに立ち寄って銀行カードで現金を引き出そうとした。(註)中国のATMは歩道に面して設置されていることが多く、24時間利用可能。

自分の銀行口座には170元(約2550円)程度しかないことを知っていた許霆は、ATMから銀行カードで100元(約1500円)を引き出そうとしたが、何を間違えたか、引き出し額を1ケタ多い1000元(約1万5000円)と入力した。すると、何事もなくATMから1000元が支払われたのだ。口座には170元程しかないはずだが、おかしいと残高を確認してみると、たった1元を引き出しただけになっている。そこで、もう1度、引き出し額を1000元と入力してみると、前回同様に1000元が支払われ、残高は1元差し引かれただけだった。

これで完全に頭に血が上った許霆は、その後立て続けに53回同じ操作を行い、合計で5万5000元(約82万5000円)を引き出した。通りの反対側で待っていた郭安山はいつまで経っても戻ってこない許霆にしびれを切らし、ATMにへばりついている許霆に向かってその名を呼んだ。この声を聞いてびっくりしたのは許霆である。郭安山によれば、許霆は慌てて郭安山の所へ戻ってきたが、恐怖に駆られた様子で顔は汗びっしょり、どうしたのかと聞いても何も答えず、2人は無言のまま一緒に宿舎へ戻ったという。

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