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鈴木貴博:“貧困の再配分”

2008年8月29日 15時22分

北京五輪の成功で、中国は名実ともに大国の仲間入りを果たした。アジアのもう1つの大国、インドもそれに続こうとしている。今や、日本をはるかに越える期待値を世界から集めるこの2カ国――。

だが、つい10年前までは、いずれも成長市場だとは認められていなかった。それは、なぜか?

その点を振り返ってみると、日本の未来と重なる1つのキーワードが浮かび上がってくる。それは“貧困の再分配”である。

ガンジー、ネールの時代に独立を勝ち得た後、インド政府の目は国民に向けられていた。それにもかかわらず、人々の暮らしは良くならなかった。この原因の1つとして挙げられるのが、“貧困の再配分”だ。

いくら福祉をうたっても、配分する富が確保できなければわずかな金額しか再配分できない。20世紀のインドでは、この富の確保ができないまま再配分だけが先行したため、いつまでたっても国民の生活は良くならなかった。

20世紀後半の中国が、富を国民に再配分しようと心掛けてきたかどうかには疑問がある。建前は共産党政権ではあるが、国のいたるところに汚職と腐敗がはびこり、ただでさえ非効率な経済が生んだわずかな富は、地方の支配層の蓄財となり、一般の国民は富の配給を受けるのに苦労した。

翻って、日本はどうだろう。

内閣府が今年発表した「国民生活に関する世論調査」によれば、生活に不安を感じる国民は調査開始後、初めて7割を超えた。不安のトップは「老後の生活設計」だという。

既に国民の半数近くが50歳代以上になろうという国家である。不安を取り除くために国民が必要とするものは、“富の再配分”にほかならない。しかし、これからの我が国は、国民に再配分するだけの富を稼ぐことができるのだろうか……?

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