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米国がサブプライム危機で「規制強化」に動くワケ(上)
エドワード・リンカーン米ニューヨーク大学教授 日米経営経済研究所長

2008年7月31日 8時50分

信用力の低い個人向け住宅ローン(サブプライム)問題に端を発し、いまだに金融危機から抜け出せない米国。米財務省やFRB(連邦準備委員会)は、金融業界に対する監督権限や規制強化策を相次いで打ち出している。米証券取引委員会(SEC)も、米政府系住宅金融会社の株価急落を受けて、日米欧の金融機関株について、株券を借りないで行う空売りを一時的に禁止する緊急命令を発表した。にわかに「規制モード」に突入する米国に、どのような背景があるのか。日米経済に詳しいエドワード・リンカーン米ニューヨーク大学教授(日米経営経済研究所長)に聞いた。(聞き手は日経ビジネスオンライン記者、大豆生田崇志)

NBO 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)による金融危機で、ヘンリー・ポールソン財務長官やバーナンキ連邦準備理事会(FRB)がFRB改革の一環として規制強化を提案している。その背景をどう見られているか。

リンカーン教授 現在、2つの問題が浮上している。1つは金融システムリスクだ。今年3月にFRBが事実上経営破綻に陥ったベアー・スターンズの救済に乗り出し、米投資銀行のJPモルガンチェースによる買収に筋道をつけたことは正しかったと思う。なぜならベアー・スターンズの破綻で、本当に金融市場が崩壊する危機があったからだ。

ただ、もし政府にこうした対策を行う義務があるとすれば、政府には「政府が投入した資金を無題にするわけにはいかない。このような危機が再発しないようにするには規制が必要だ」と言う義務もある。これが今の規制強化の論議にある。

もちろん住宅ローン債権市場や証券化商品、それに投資銀行やヘッジファンドに対して規制強化が必要かどうかは、非常に大きな問題だ。一般的に、1970年代前半から90年代にかけて米国の金融市場は規制緩和が進んだ。市場には規制が多すぎたため、規制緩和によって金融業界は再編が進むなど、おおむね恩恵があった。

しかしながら、偶然か意図的かはともかく、規制緩和は予期せぬ事態を招く。例えば80年代には貯蓄金融機関(S&L)など弱小金融機関にリスクの高い行動が広がった。銀行が、そんな行動をするとは想定されていなかった。

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