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オフショア開発しなければ、企業が「滅びる」時代に

2008年5月29日 9時55分

発注先の技術力向上、ユーザー企業からの直接発注、欧米企業との競争など、オフショア開発も変化しつつある。国士舘大学の梅澤教授にうかがった。

日本のIT企業が海外にシステム開発やサポートなどを外注する「オフショア開発」が始まったのは、1970年代からといわれている。中国との取り引きが本格化したのは80年代に入ってからで、特に2001年頃から急速に増大してきた。また、インドやベトナム、東欧など、外注先も広がりつつある。オフショア開発の最近の状況について、梅澤教授はそのポイントを指摘する。

「まず、オフショア開発の案件は、規模が大きくなってきました。さらに工程も前後に広がってきていて、単なるコーディングだけではなく、設計や保守まで行う例が増えています。この傾向は拡大中で、さらにシステムの全体、ライフサイクル全体を担当するところまで広がってきています」(国士舘大学政経学部 梅澤隆教授)

システムは企画~開発~運用~保守そして次世代の企画というライフサイクルで回っていく。従来はオフショアでは開発、あるいはユーザーサポートといった保守の一部だけを受けていたのが、より幅広く担当するようになってきているというのだ。

さらに面白いのは、どこに外注するかによって目的も効果も違ってくるという、梅澤教授の指摘だ。

「日本を中心として考えた場合、中国に出す場合とインドに出す場合では、目的が違います。中国に出す場合は、コストダウンが目的の場合が、今でも多い。これに比べ、インドは人件費が高い。インドの場合、日本人のエンジニアと人月単価はほぼ同じか、10%くらい安い程度です。この場合、コスト削減はあまり期待できません。それ以外の目的で発注することになります。中国でも、現在の状況ではまだコスト削減できますが、人民元が切り上がってきており、現地でも徐々に人件費が上がってきています。今後はコストだけで行くのは難しくなるでしょう」(国士舘大学政経学部 梅澤隆教授)

人件費が上がってしまえば、コスト抑制というメリットは得られなくなる。日本人と同じや10%安いという程度では、ブリッジSEの費用や翻訳の手間、日本人スタッフの行き来を考えると、マイナスになりかねない。しかし、それでもオフショア開発は増えていくだろうと、梅澤教授は強調する。それは、人材面の問題である。日本国内では、IT開発の人材が足りない状況が、当面改善されそうにない。オフショア開発に頼らなければ、日本のIT産業が成り立たないのが現状なのだ。

「特定サービス産業実態調査は平成19年から統計の取り方が変更されるのですが、その直前の平成18年までを見ると、情報サービス産業、ソフトウエア産業で、この5年間で3000人くらいしか人が増えていないのです。企業の採用担当者は、景気が良くなれば人が来ないのではないかと、危機感を持っています」(国士舘大学政経学部 梅澤隆教授)

ソフトウエアエンジニアになるべき人材がソフトウエア業界に来ない。これを補うためにはどうしても海外に外注するしかない。こうした状況が背景にあるというのだ。

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