決断のとき・サイゼリヤ代表取締役社長 正垣泰彦
「トントン、トントントン……」。正垣泰彦は聞きなれない物音で目を覚ました。1967年の冬の朝、正垣が千葉県市川市に開業したレストラン「サイゼリヤ」の店内、正垣と後に専務となる山本慈朗(じろう)は綿のように疲れて眠り込んでいた。
「二人とも店内で寝起きしていたんです。開店したもののお客が全然来なくて、アパートも借りられない。夜中まで営業して店を閉めた後、ホールに椅子を並べて、2枚の毛布を分け合って眠るんですよ。寒いから海老のように丸くなって」。
21歳の正垣は東京理科大学で理論物理学を専攻する大学生。新潟から上京した山本は17歳だった。
聞こえてきた物音は、階下のシャッターが遠慮がちに叩かれる音。「慈朗、慈朗……」。山本の名を呼ぶ声。「息子のことがよっぽど心配だったんだね。山本のお袋さんが新潟から出て来たんですよ。寝起きでぼんやりしている僕に丁寧に頭を下げて、『この子をよろしくお願いします』って。僕は胸がぐっと詰まって『はい、頑張ります』と答えたんです」。
若い正垣には、山本の母の言葉が胸に染みた。「20歳そこそこの僕に、お袋さんが深々と頭を下げるんですよ。一緒に働いてくれる仲間の生活、将来に責任があることを実感しました。頑張らなきゃいけない。俄然(がぜん)、真剣になりました」。
詳細は、日経レストランの記事本文をご覧ください。
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