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米単独覇権主義に翻弄される英軍イラク撤退

2007年8月29日 9時22分

2003年春に米英軍がイラクに侵攻し、フセイン政権を倒して占領を開始した当初、英軍によるバスラなどイラク南部の占領は、米軍によるバグダッドなどイラク中部の占領より、ずっとうまくいっていると報じられていた。

イラク中部の米軍は、ヘルメットをかぶった重装備で、しばしばゲリラから攻撃を受けて苦戦していたが、これと対照的に南部の英軍は、ベレー帽の軽装でバスラ街頭をパトロールし、子供たちにキャンディを配り、地元民との親交を深める姿が世界に流れた。

しかし今や、占領の状況は米軍より英軍の方が悪くなっている。バスラにおける英軍の主な拠点は、約500人の兵士が駐屯する市街地中心部の旧フセイン政権の宮殿と、約5000人が駐屯する郊外のバスラ空港であるが、宮殿の敷地には毎日最大60発のロケットや迫撃砲がゲリラによって撃ち込まれ、英兵士は自分たちの身を守るのがやっとで、反撃やパトロールもできない。

英軍のイラク撤退で米英関係に重大な亀裂

英軍は、占領開始後に訓練した新生イラク軍にバスラ市街地の治安維持を委譲し、近く、宮殿の陣地を引き払い、駐屯地をバスラ空港に一本化することにした。だが、イラク軍内にはゲリラの支持者が無数に入り込んでおり、英軍が郊外に撤退したらイラク軍は崩壊しそうだ。英軍が撤退した分、ゲリラが追いかけてきて、いずれバスラ空港にゲリラのロケットや迫撃砲が降り注ぐことにもなりそうだ。

軍事関係者の間では、英軍のバスラ占領は既に失敗が確定しているという見方が強い。米政府の匿名の諜報担当者が、8月7日付のワシントンポストの記事で「英国は基本的に、既にイラク南部で失敗している」と述べている。また、英軍のリチャード・ダナット参謀総長は8月20日に「英軍は(イラクではなく)アフガニスタンに全力を注ぐべきだ」と発言し、間接的にイラク撤退を主張した。もはや英軍の課題は「撤退するか否か」ではなく「どうやって安全に撤退するか」になっている。

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