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「ポスト知的財産立国」時代の「知的財産・経営・法務」の方向性(下)

2007年3月5日 15時31分

「グローバル化が進む経済活動において,“知的財産”はもはや競争優位性を確保する特別な手段ではない。知的財産自体が企業や国家経済の競争要因(forces)の1つであり,知的財産経営は企業の必然的な姿勢だ」。企業経営において“知的財産”が果たす意味を,西村ときわ法律事務所の弁護士・岩倉正和氏はこのように示す。

先進工業国の産業競争力の核が「生産」から「高付加価値」へと移る中,経済社会も大きく変容し,「知識経済」,「知識社会」がグローバル規模に表出しつつある。こうしたコンテクストの中で“知的財産”自体の意味や価値が大きく変化し,企業活動における重要性が必然的に増している。パラダイム・シフト(時代規範の変移)に直面する企業が「いかに“知的財産”を認識しマネジメントするべきか」,その方向性を岩倉氏に聞いた。

(聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

 知的財産経営の実践において企業が進むべき方向性をどう見るか。

岩倉氏 基本的な姿勢としては,経営の中で「知的財産」は特別な事業課題ではなく,ごく当たり前に,事業遂行上,必然的に生じる要素であることを認識しつつ取り組むことが大切だ。つまり,従来からの事業や業務の中に「知的財産」の考え方が浸透し,それぞれの場面で多様な意味の知的財産がイシューになりうる状況を想定しなくてはならない,ことを意味する。

例えば,(a)税務や財務会計の領域での知的財産のあり方の変化,(b)近時の会社法の改正と日本版SOX法の導入などに伴うコンプライアンス(法令遵守)やガバナンス(企業内統治)の領域における知的財産,(c)独占禁止法と知的財産の交差(関連記事),などが新たな論点として存在する。重要な点は,これらは企業内部から生じるだけでなく,事業の外部環境においてもキー・イシューになったり従来の事業に課題と複合化したりする場面が増えていることだ。最近注目されている「移転価格税制」における無形資産の取り扱いなどはその1例といえよう(関連記事)。この移転価格税制問題からは,国税当局が企業活動における知的財産の“財産価値”の大きさを認識した上で,新たな課税対象として注目しているスタンスが伺える。加えて,私の実務上の経験から述べると,M&A(企業の買収・合併)取引では知的財産が判断材料として重視される場合が増えつつある。

企業はこうした新しい変化に問題意識を持ちつつ,従来から必要性を謳ってきた研究開発活動・事業活動・知的財産活動の「三位一体」経営の内容を吟味するべき時を迎えている。成果の検証,目標の設定,社内体制の整備などを体系的かつ恒常的に実施することが経営戦略を構築する際の本質に存在する。あるいは,大局的な視野とそれに基づく戦略の有無自体が企業の競争優位性,企業価値の要素そのものといえる。

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