「理系離れ」の背景にあるもの
生きがい論は若者に通用するか
3年前、NHK教育テレビが制作した小学3年生向けの教育番組に出演したことがある。「ふしぎいっぱい」という15分の理科番組だった。内容は、水中翼船「スーパージェット」の開発物語である。揺れない高速船を安価に提供するプロジェクトが易しく解説されて、最後は「快適になりました。本を読みながら旅行できるようになって」という乗客の言葉で終わる。
とてもよい番組だったが、シリーズを通じた企画を見て、1つだけ残念に感じた。番組のほかの回は、ほとんどが物理、化学、生物などの、いかにも“理科的”な内容で、私が出演した回のような「ものづくり」や「技術開発」についての企画は珍しいようだった。もちろん、あまりものづくりの話が多過ぎても、理科教育という企画の趣旨から外れてしまうし、「ものづくりの仕事」を子供に紹介するのは社会科の範疇かもしれない。だが、ものづくりの仕組みや現場を、もっと理科の授業でうまく取り上げてもいいのではないかと感じた。
理系離れの原因は、教員の多様性のなさにあり
小学校や中学での理科教育は、科学技術教育の入り口で重要な位置づけを占める。私は、理科や算数を教える人材の多様性が低く、内容が理学系の学問分野に偏りがちな傾向が「理系離れ」の大きな要因の1つだと考えている。理科や算数を教える教員は、開発現場やものづくりを経験したことのない人材がほとんどだ。この傾向は、小学校だけでなく、中学校、高校、さらに大学の教養課程まで続く。これでは、子供たちに技術開発やものづくりの楽しさ、大切さがなかなか伝わらないと懸念してしまうのだ。
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