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税金で万馬券を買うが如し

2006年11月10日 8時46分

安倍政権の重要な政権構想にイノベーション25がある。日本経済にイノベーションで新しい力を与えて2025年の社会を作ろうというのだ。これほど本末転倒な話があるだろうか。識者が会議で重点投資分野を決めるらしい。今は19世紀か? 日本政府は富国強兵か重商主義政策でもとるつもりだろうか。

イノベーションとはヨゼフ・シュンペーター(1883?1950)によって提示された概念で、「技術革新」あるいは「新結合」と訳す。それはけっこう。内燃機関の登場はそれだけではおもちゃにすぎず、鉄道や汽船が走って世界交通のイノベーションとなった。だが、それは何千何万という起業家が死屍累々の失敗を積み重ねての結果だ。

政府主導で重点投資分野をつくるのは、税金で万馬券を買うようなものだとどうしてわからないのだろう。政府が金をくれるというので電機各社が渋々参加している日の丸検索エンジンはどうだ。「グーグル」と「検索」とは、次元が違うものだということを知らないのか。

広島市から約20km東に位置する熊野町に白鳳堂という筆の会社がある。その白鳳堂は、世界の化粧筆の約60%を生産している。

昨年ブッシュ大統領が来日した際、小泉首相は夫人にこの白鳳堂の化粧筆を贈った。「初めて見たんだけれどもね、あれを実際に使ってみると気持ちいいですね。特に、リスの毛でつくった化粧筆、ちょっとやってごらんなさい、で、やってみたの。触ったらあの柔らかさ、すごくよかったですよ。これを、パリを始め世界中に今、日本は輸出しているんです。歌舞伎役者あるいはハリウッドの映画俳優のメーキャップに、今はもう欠かせないものになっているそうです。化粧筆を使ってみてね、これだとお化粧は楽しくなるんじゃないかなと私は思いました」と、当時の小泉首相がラジオで語っている。

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