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思いこみや常識から解放されるための仮説思考とは?

2006年6月26日 17時32分

●今年2月に出版された『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』(光文社新書)が、2006年6月時点で32万部突破のベストセラーとなっているサイエンスライターの竹内薫氏。

●同氏は「最近、頭が固くなってきた」と感じている人たちに向けて、「科学の基本を知るだけで、あなたの頭は柔らかくなるかも知れない」と言う。科学の基本とは「世の中全部仮説にすぎない」ということであり、そのことを知れば、思い込みや常識、前例、先入観、固定観念などから解放されるという。

●そこで今回は、竹内氏に、企業経営者やビジネスパーソンが、思い込みや常識、固定観念といったものから解放されるための仮説思考と、それをビジネスに応用するためのコツなどについて話を聞いた。

「最初に仮説ありき」

――竹内氏は、サイエンスライターとして、これまで50冊以上の著書を執筆されていますが、中でも今年2月に出版された『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』は、32万部突破のベストセラーとなっています。同著を執筆されたきっかけから教えて下さい。

竹内氏: 私が2004年9月に筑摩書房から出した『世界が変わる現代物理学』という本を読んで下さった光文社新書の編集長が、若手の編集者と一緒に執筆依頼に来られたのがそもそものきっかけです。そのときの編集長の要望は「仮説という切り口で科学の本を書いて欲しい」というものでした。

この「仮説」という切り口は、私自身の日頃からのテーマとしても非常にフィットしました。人が何かについて考える時、実は、頭の中でたくさんの仮説を立てていて、それに従って「脳内シミュレーション」のようなことをやっているのですが、それを「科学」という切り口で分かり易く紹介できたら面白いだろうと思いました。

しかしながら、脳内シミュレーションの仕方や頻度、精度は人によって異なります。精度は「仮説の数」と置き換えると分かりやすいでしょう。

例えば、妄想傾向の強い人というのは、脳内シミュレーションは頻繁に行っているのですが、そのシミュレーションと現実との関係が希薄なのです。また、作家などは一般の人よりも脳内シミュレーションを行う頻度が高い人と言えるでしょう。普通の人が想定しないようなあらゆるシチュエーションを、常に想像しているわけですが、たとえそれが、現実と乖離していたとしても、作品として昇華できさえすれば良いわけです。また、思い込みの激しい人というのは、持っている仮説の数が平均よりも少ない人なのではないでしょうか。そのために、現実に合致しない結論を勝手に導き出してしまうのです。

それに対し、仮説の数を多く持っている人の方が、脳内シミュレーションと現実が合致する可能性は高まると言えるでしょう。ただし、仮説の数を増やせば増やすほど良いというわけではありません。無限の可能性を考えても意味がないからです。

理想は、適度に複数の仮説の中から、より現実に近い仮説を取捨選択し、導き出していく能力を養うことです。また、取捨選択の基準も一人よがりではいけません。数多くの外部情報を様々な視点から収集し、その情報と自分の仮説を照らし合わせ、頭の中で計算した上で、取捨選択を行う必要があります。

ですから、市場トレンドを読むのが上手な人というは、最初に適度に多くの仮説を持っていて、その中から、より精度の高い仮説を導き出し、現実に合致するような脳内シミュレーションができる人というわけです。

――ある企業の名経営者が、「例えば、ビジネスパーソンが、何か新たなビジネスに乗り出す際には、まず仮説を立てなさい。そしてそれを検証し、ある程度、精度を上げてから、実践に移しなさい」ということをよく言われます。「データというのは、仮説を立て、それを検証していく過程の中で必要になってくるものであって、最初にデータありきではない」と言うのですが、竹内氏はどう思われますか。

竹内氏: 私も同感です。やはり「最初に仮説ありき」だと思います。

ビジネスパーソンが、何か行動を起こそうと思った時、その背景には、必ず何らかの仮説が存在しているはずです。例えば、「社会をこうしたい」とか「会社をこう変えたい」といった目標があり、そのための仮説を立て、その目標に向かってシミュレーションしていくのです。逆に、やりたいこともないのに、仮説を立てることなどできません。まず、仮説を立て、実際に検証を行い、その中で得た客観的な情報を適宜導入することで、仮説のさらなる取捨選択を行い、その精度を高めていくというプロセスを繰り返すということでしょう。

竹内 薫(たけうち・かおる)氏
サイエンスライター。
理学博士。
1960年生まれ。
東京大学理学部物理学科卒業。
マギル大学(カナダ)大学院博士課程修了(専攻は超ひも理論の宇宙論)。
湯川薫という名のミステリー作家としても執筆活動を行っている。
著書:
『世界が変わる現代物理学』(ちくま新書)
『脳をめぐる冒険』(著:竹内薫+藤井かおり、飛鳥新社)
『物質をめぐる冒険』(NHK出版)
『ホーキング 虚時間の宇宙』(講談社 ブルーバック)など多数。
http://kaoru.to/

■詳しくは、bp special「“高付加価値経営”を生み出すITマネジメント」サイトでご覧になれます。

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