第2回サッポロビール株式会社
“動画を見たい”ユーザーの声に対応
「生搾り」テレビCMを携帯電話で配信
~ASPサービス導入でブランド認知を高めるコンテンツ制作に専念
(取材・文=中村 祐介(エヌプラス) 写真=中村 宏)

経営戦略本部コーポレートコミュニケーション部
インターネット推進室 藤崎浩嗣氏
「企業サイトの中心はいわゆるパソコンなどで見るWebサイトです。弊社は携帯電話の公式サイトを運用していますが、昨年度末、携帯サイトのありかたについて議題が持ち上がりました」。サッポロビールの経営戦略本部コーポレートコミュニケーション部インターネット推進室の藤崎浩嗣氏は、携帯電話の公式サイトの是非を議論した当時を振り返る。
「携帯電話の公式サイト」と簡単にいっても、運用する上で当然毎月応量のコストがかかる。それまで同社の携帯電話サイトには、様々なコンテンツが置いてあったが、アクセス数が芳しくなく人気のないコンテンツもあった。
藤崎氏は「携帯サイトの今後の運営方針を決める前に、しっかりお客さまのニーズを調査してから判断しようと考えました」と話す。ユーザーアンケートを行った結果、Webサイトへアクセスするユーザーは30代~40代の男女が中心。一方、携帯電話の公式サイトへアクセスしているのはWebサイトに比べて20~30代のボリュームが多くなっている。
30代~40代の男性で、サッポロビールのWeb公式サイトへアクセスするユーザーは、同社に好意を持つファン層だと考えていい。ただ、20代の男女はまだ特定企業・ブランドのファンになっていないケースが多い。
「20代の男女は、まだお酒に触れ始めたばかり。“ビールならサッポロビール”といった愛着とご支持をこれからお願いしていける潜在的なお客さまです」と藤崎氏は20代のユーザー層を重要視する。彼ら潜在顧客に対するブランド・コミュニケーションのツールとして、携帯電話の公式サイトは継続する方向へかたまった。
「見たい携帯コンテンツは動画」がアンケート回答の上位に
サッポロビールの携帯電話向けサイト

携帯電話の公式サイトを継続する上で、藤崎氏はサイト構成の見直しを実施した。その際、同氏はユーザーアンケートで得られた、ある結果に着目した。「アンケート結果の中で、『今後携帯電話のコンテンツで利用したいものは』という質問に対し、『動画』という回答が上位に入ったんです」。
そこで、携帯電話でもテレビCMの動画配信を行うことを考えた。「弊社のCMには、多くのタレントさんを起用しておりますから、そのタレントさんのファン層や弊社のCMに興味のあるユーザーが、いつでもどこでもCMを見られるようしたかった」と藤崎氏。
ただ、携帯電話の動画配信システムはサッポロビールにない。藤崎氏は「以前、携帯電話向けのリッチなコンテンツを広告代理店、制作会社と協力して自社製作したのですが、手間もコストもかかり、とにかく大変だったという印象しかなかった。それで、今回はASPサービスを使おうと考えていました」と語る。
ASPサービスでCM配信
サッポロビールが導入したASPサービスは、ダウンロード型音声・動画コンテンツのエンコード&ホスティングのワンストップサービス「jmods(ジェイモッズ)」(Jストリーム)だ。これは3G携帯電話のコンテンツ(動画・楽曲)のダウンロードに特化した、認証課金機能つきダウンロードコンテンツ配信サービス。システム構成は以下のようになる。
「配信や認証にかかるシステムはASPサービス側が運営してくれますから、動画配信に必要な大容量のインターネット回線を新たに用意する必要がありません。専用管理画面でコンテンツの登録やアップロードもできますから、特別な知識もいりません」と藤崎氏。サッポロビールでは、WebサイトでテレビCMを配信している。このテレビCMの動画を携帯電話用にエンコードするのもJストリームに依頼しているという。
ダウンロード型の場合、著作権保護などの観点から、その配信方法がキャリアごと、そしてキャリアによっては世代ごとに異なる。jmodsでは、既存のすべての仕組みに対応しているため、導入による開発工数の大幅削減が実現できた。
“ならでは感”でコンテンツの差別化を図る
サッポロビールの携帯電話の公式サイトでは、CM配信に加え、新たな試みが行われている。「☆生搾り・冬の北海道旅行プレゼント!」というキャンペーンで、クイズを提示。そのクイズのヒントとして、動画配信を利用した(10/31に終了予定)。
藤崎氏は「動画を見るにも、動機があったほうがいい。そのためにテレビCMなどでありがちな手法ではありますが、この動画を見るとクイズの回答がわかりますよ、とユーザーに提示してみたのです」と経緯を説明する。ダウンロード数の伸びは好調で、CM配信と同じく、人気コンテンツになっているという。

サッポロビール社内風景
「結局、何をやるかだと思います。携帯電話は移動中でもいつでもどこでもチェックできます。そのユーザーのニーズに合致したサービスを提供しさえすれば、支持を集めていくのではないでしょうか。今、弊社の公式サイトでは『サッポロビールが飲める店』などの飲食店情報も提供しています。これは、いろいろなシチュエーションで、“友人・知人で見せ合う”という携帯電話ならではのコミュニケーションに使えると考えたのです。また、弊社のビールが飲める店という絞込みをしたことで“通常のグルメサイトとの差別化”も実現しています」と藤崎氏が話すように、企業の公式サイトで情報サービスなど各種コンテンツを提供する際には、“ならでは感”と専門のサービスと“差別化”できているかどうかが社内で企画を通す上でも争点となる。
「できれば、社内の人間はこうした企画に専念したいところです。システム的な部分で言うと、携帯の世界は技術革新が速いこともあり、専門的で信頼の置けるサービスがあれば、積極的に検討していきます。以前、苦い経験をしたからこそ、言えることですね」(藤崎氏)。
(提供:Jストリーム)
※第3回はシーエーモバイルの事例を紹介します。
10月20日(金)にお届けする予定です。
- 美容師に向けたブランド訴求、QRコードと画像を用いたキャンペーンで奏功 (2006/11/01)
- 試乗レポートの動画配信でFOMAランキングが2位まで上昇 (2006/10/30)
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- Flashによって携帯電話のコンテンツはリッチに、効果的に転換する (2006/10/23)
- “動画を見たい”ユーザーの声に対応 「生搾り」テレビCMを携帯電話で配信 (2006/10/19)
- 新サイトへの移行のお知らせ
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ネット連動型テレビCMへの反応度調査(後編)
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重要性高まる番組検索技術は一長一短
アマゾンと、ロングテールに関する
“大きな勘違い”
ソフトバンクの増加件数がauとほぼ並ぶ


