第5回P&Gジャパン ノースイースト・アジア・マーケティング担当
黒木 昭彦 アソシエイト・マーケティング・ディレクター
消費者はそれを望んでいるか?
慣例廃し使うメディアを徹底検証
「Web2.0&モバイルが拓くマーケティング・イノベーション」をテーマに11月1日(水)に開催される「Net Marketing Forum 2006」。講演者に現状認識や問題意識を聞く本コラムの最終回は、基調講演「P&Gのマーケティング戦略:“消費者はボス”マーケティングモデル」に登壇するプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&Gジャパン)の黒木昭彦アソシエイト・マーケティング・ディレクターに、多様なメディアを活用するマーケティング活動でのネットの位置づけや、国内外の違いなどを聞いた。
「パンパース」「ウィスパー」「ファブリーズ」「ジョイ」など、多数の家庭用品ブランドを抱えるP&Gの全社共通スローガンが“消費者はボス”(Consumer is Boss)。マーケティング戦略も、消費者の深層心理・潜在意識まで徹底的に突き詰めたうえで、計画・実行している。
黒木氏は、パンパースのブランド・マネジャーなどを経て、米国本社では日本人で初めて現行ビジネスのブランド・マネジャーとして紙おむつの「Luvs」(ラブス)を担当。現在はアソシエイト・マーケティング・ディレクターとして、マーケッターの能力開発/向上と店頭マーケティングを担っている。
(聞き手はネット事業推進センター 井出 一仁)
“消費者はボス”という全社スローガンをわかりやすく言うと?

黒木 意味するところは二つあります。
まず、消費者が最終のデシジョン・メーカーであること。もちろん、プロモーション・キャンペーンの計画書などに承認のサインをするのは経営陣ですが、どういうプロモーションをどんなメディアを使って実行するのかといった計画は、それを消費者が望んでいるかどうかが判断基準になります。「私はこう思う」と上司(ボス)に言ってもダメ。私自身、そのたびに「消費者はなんと言っているんだ」と問い返されたものです。
もう一つは、消費者の潜在意識まで、消費者自身以上に理解することです。消費者がボスだからといって、消費者が右と言ったら右に行くのではありません。消費者が自分の言葉で言い表せていない深層心理まで突き詰めて、消費者のためになり結果としてP&Gブランドのためになる手法を採用するわけです。
“消費者はボス”を全社スローガンとして打ち出したのは、米本社の現会長A.G.ラフリーが2000年にCEOに就いたときに打ち出したものですが、ラフリーが経営陣にいた日本法人では、米国よりも早くこのポリシーが浸透していました。
全社スローガンの背景には、失敗の経験があるように思います。
黒木 1970年代にP&Gが日本市場に参入したとき、これまで成功してきたグローバルな手法が通用すると考えていました。実際、紙おむつ「パンパース」は参入1年めで、シェア90%を占めるという大成功を収めました。
ところが、わずか数年で競合他社に80%のシェアを握られてしまいました。この失敗から、“消費者はボス”を学んだのです。革新性、グローバリズム、テクノロジありきでは、うまくいきません。革新性やグローバリズムを備えたP&Gにとっては、消費者が重要というのが教訓です。
next: マーケティングに活用するメディアの選択に関しての基本方針は?
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