第2回全日本空輸 営業推進本部顧客販売部
幸重 孝典部長
航空券売り上げはネットが主役
小さな成功を積み重ね社内を説得
11月1日に開催する「「Net Marketing Forum 2006」では、インターネットやモバイルを活用して成功を収めている企業の担当者を招き、ネットマーケティングの最前線の状況や評価・課題、問題意識について講演してもらう。
講演者に現状認識や問題意識を聞く本コラムの第2回は、先進ユーザーによる特別講演(専門トラックB)「ケータイ×PCで加速するANAネット予約サービス」に登壇する全日本空輸(以下全日空)の幸重孝典氏。講演に先駆けて、ネットマーケティングへの取り組み状況と、その成功のポイントについて聞いた。
幸重氏は1997年、営業推進部担当部長として「ANAマイレージクラブ」サービスの立ち上げに携わり、2000年に日本航空、全日空、日本エアシステムの3社が共同出資する国内線インターネット販売会社の国内線ドットコムの設立を担当。現在は顧客販売部長としてダイレクトマーケティング(インターネットおよびコンタクトセンター)を担当するとともに、国内線ドットコム代表取締役を務めている。
(聞き手はネット事業推進センター 井出 一仁)
全日空は、早い時期から航空券販売のインターネット活用に取り組みましたが、成功の見通しはあったのでしょうか?

幸重 すでに米国の航空会社が先行しており、売り上げなどの数字も含めて、そうした前例を参考にすることができました。全日空がネットを活用し始めたのは1997年で、ブロードバンドが一般にはまだ普及していないころです。けれども、ブロードバンド化が進み、ホームユースが拡大すれば、日本でも米国と同様のことが実現できるという確信がありました。
ネット活用がうまくいった理由のひとつとして、航空業界がネットサービスと親和性が高いことが挙げられます。扱う商品がチケットですから、お客様が現物を手に取らなくても購入を決定しやすい。ネットでの販売に向いている商品だと言えます。
ネット事業の成功を実感できたのは、2002年8月のことです。ネット経由でのチケット予約が初めて、コンタクトセンターからの予約を上回ったのです。現在では、ネット経由でのチケット販売が個人顧客の50%を超え、売上高は3000億円に達しています。
2004年にケータイだけで予約から搭乗手続きまで済ませられるサービスを始めたことで、業務にどんな変化がありましたか?
幸重 導入前は年間2000万件ほどあったコンタクトセンターへの問い合わせが、現在では約半数に減りました。ここまで減るとはまったく予想していませんでした。結果として、コンタクトセンターにかかるコストを大幅に圧縮できました。
一方、ケータイを使ってネット上で予約や運航情報などを簡単に確認できるようにしたので、電話による問い合わせは、ネット上のFAQにはない込み入った内容のものが増えています。ケータイの普及によって、空港内からの即時性の高い問い合わせも増えています。
ネット上の顧客接点が便利になることで、空港内や機内での有人サービスへの期待も高まります。サービスの質はトータルで考えなければなりません。リアルとバーチャルをつなげる仕組みを作り、すべてのサービスを連携させることが大切です。この4月には、「ANAマイレージクラブ」の会員1000万人の搭乗履歴をコンタクトセンターで把握できるようにしました。
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