第11回
スーパーボウルのTVCM決戦(後編)
配慮に欠けたCMが“悪口”を生む
クチコミを多く生んだスーパーボウルCMとは?
米国メディアの広告動向をレポートするNielsen Monitor Plusは、2007年のスーパーボウルの広告に関する分析結果を発表した。その中ではクチコミを引き起こしたCMが何だったかについても取り上げており、Nielsen BuzzMetricsが測定した「バズ・ボリューム」(そのCMをどれだけ多くのブログが取り上げたかを示す指標。単位は%)の結果を紹介している。その上位にランキングされたCMは、以下の表1の通り。これによると、ゲーム当日および翌日、最も活発にブログで取り上げられた単独CMは、オンエア中止となったスニッカーズとNationwide Insuranceの「Life Comes at You Fast(RollinVIP)」であった。
両者はそれぞれ9.8%を占めて、バドライトをあわせてトップとなったバドワイザーの20.6%についで2位に入っている。また、ドリトスは二つのCMをあわせて7.9%を占めて4位にランクされ、GMのオンエア中止CM(自殺した夢を見たロボット)も6.0%を占めて6位に入っている。

(Nielsen BuzzMetrics調べ。バズ・ボリュームは、そのCMをどれだけ多くのブログが取り上げたかを示す指標。*をつけたものは、異なる製品のCMなど複数のCMの結果を合計している。太字のCMは今回の記事(前編を含む)で取り上げたもの)
「YouTube時代」、「CGM時代」ともいえる今日では、CMはオンエアと同時に消えてしまうものではない。TiVoのようなデジタル・ビデオ・レコーダーやインターネット上で、何万回と繰り返し再生されて、コミュニティでその話題がシェアされ、議論される可能性まで考慮に入れないといけないのではないだろうか。特にスーパーボウルのように、CM自体にスポットが当たっている国民的イベントでのWOM(Word of Mouth:クチコミ)のボリュームは半端なものではない。上記のNielsen BuzzMetricsの測定を見る限りでは、良きにつけ悪しきにつけ、論議を呼ぶ内容はバズとして火がつき、多くの消費者に語られて、バイラル化して(=急速に)広がっていく。
そのインパクトが生み出すエンゲージメント効果やROI(投下資本利益率)を考えると、CGC(Consumer Generated Commercials:消費者制作コマーシャル)を活用したマーケティングが従来の手法よりも効率的に思えるかもしれない。しかし、CMが訴求しようとしている内容が、ターゲットオーディエンスの共感を適切に得られるものかどうかという、基本的なチェックを怠ってはならないことは言うまでもない。

日米のマーケティング・ビジネスを橋渡し
米国シリコンバレーで、日米のマーケティング・ビジネスのファシリテイターとして、戦略の開発実施・調査分析などのコンサルティング・サービスを提供するJaM Japan Marketing LLCの創設者/パートナー。日本の広告代理店の電通ヤングアンドビルカム、米国広告代理店マッキャン・エリクソンを経て、20年間に渡る日米間のビジネス経験を生かして、1998年にJaM Japan Marketingを設立。「Peer to Peer」(P2P)、「WOM」(Word of Mouth)などを活用した最新のマーケティング手法に注目したサービスを提供している。
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