Webマーケティングの近未来

ad:tech New York 2006まとめ

ビデオと広告オークションに注目

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2006/11/21
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YouTube買収では終わらないビデオ配信、テレビ局も表舞台に

“YouTube”という言葉が聞かれないセッションが一つもなかったと思えるほど、YouTubeやMySpaceをはじめとするビデオ共有サイトはad:tech New Yorkでの大きな話題だった。トラフィックの伸びやGoogleによる買収などの話題が尽きないこともあるし、広告関連のイベントで初めてYouTubeのCMOが参加するということでかなりの人が注目していた。

ただ、連載中の「Webマーケティングの近未来 ビデオの時代」でも書いたように、オンライン・ビデオの爆発的な伸びを狙って参入しているのは、ビデオ共有サイトだけではない。テレビ局やレコード会社は、Apple iTunes/iPodでのコンテンツ配信でかなりの成果を上げる一方で、ビデオ広告に予算をシフトする広告主の実感をつかんでいる。ビデオ共有サイトも実はただの競合ではなく、テレビ局やレコード会社にとってコンテンツ配信チャネルの位置づけにもなることが背景としてあり、オンライン・ビデオ配信にかなりの力を入れている様子が報告されている。

9月にニューヨークで開催されたイベント「Advertising Week」でもそうだったが、今回のad:techでも講演やパネル・ディスカッションのステージ上に、かなりの数のテレビ局幹部の姿が見られた。「ビデオの時代はコンテンツを多数持つテレビ局の時代でもある」ことを強調したいという姿勢の表れだろう。

ad:tech速報でもお伝えしたように、ビデオ配信のための様々な新しいテクノロジーも出始めている。オンライン・ビデオを取り巻く環境は、GoogleによるYouTubeの買収で終わりでは決してなく、次世代技術が出てきている。新たなレベルの競争・買収が始まりそうなことをお伝えしておこう。

オークションなどネットの仕組みがマス広告を揺るがす?

広告オークションというと日本では検索連動型広告を思い浮かべるかも知れないが、米国では多数のオンライン媒体の広告を販売する「広告ネットワーク(アド・ネットワーク)」が多数存在する。様々なターゲティング技術を導入して広告主の要望に応えるのと同時に、オークションの形で広告枠を販売するところも出始めている。

だが、今年広告オークションの話題が盛り上がっているのは、これがオンラインの話だけではないからだ。Googleが新聞50紙以上と広告の販売について提携したり、ラジオ広告をオンラインで管理するdMarc Broadcastingを買収したり、オークション会社のeBayが全米広告主協会などとともにテレビ・スポットのオークション市場を作ろうとしているという話題が多数聞かれた。すでにケーブルテレビでは「SpotRunner」というスポットCMを安価で作ることができ、それを希望のエリア/チャンネル/番組などに挿入するようなサービスも始まっている。日本でも電通が「CMGOGO」という同等のサービスを始めたことが話題になっている。

いずれにせよ、ネットの広告の考え方や運営の仕方が、徐々にオフライン広告に入ってきており、これから数年でマスメディア広告の世界を大きく変える可能性が出てきた。影響は、オークションという販売の仕方だけではないだろう。検索連動型広告ではクリック課金という形で、従来の露出(インプレッション)に対する課金に比べて広告主のリスクを軽減する形となっているし、アフィリエイトでは商品の販売実績に対する課金なので広告主にまったくリスクがない。こうした仕組みがマス広告に入ってくる可能性を秘めており、メディア企業のビジネスモデルを大きく変えるかも知れないのだ。

ad:tech New Yorkはほかにも、ソーシャル・メディアや検索エンジン、行動分析型ターゲットなど、様々なトピックを網羅していたものの、ここ1年で技術面などでの大きな進展があったというよりは、すでに起こっている変化が一般化してケーススタディが増えているという印象を受けた。

前述のように、ad:tech参加者の裾野が広がり、全体としてはより広い層にわかるような内容になったが、同時にビデオ広告のようにオンラインでブランディングを行うツールが出てきたという話はマーケティング担当者にとって割とわかりやすい話であっただろうし、今までマスメディアに不当な金額を払ってきたのではないかと考えているマーケティング担当者にとって、広告オークションの話は広告市場の透明性を高める点で興味深い内容であっただろう。裾野が広がっているからこそ、これらの考え方が素早く業界に浸透していくことが予想される。

今でもネット広告の変化の速さを感じるが、これが数年でマスメディアにも押し寄せることは十分考えられる。その意味でも、ad:techなどで定点観測を行っていくのはますます重要になっていると言わざるを得ない。

織田 浩一

デジタルメディアストラテジーズ社代表、アドイノベーター編集長。

米シアトルを拠点とし、欧米の新広告手法・メディアテクノロジー・IT調査・コンサルティングサービス、記事執筆、講演を行っている。最近ではマーケティング・広告分野でのアルファブロガーとも言われている。コメント、質問はemail@adinnovator.comへ。ブログは、www.adinnovator.com

監修本、『テレビCM崩壊~マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0』を最近発刊したばかり。その第一部 テレビCMの問題についての解説した部分がPDFで無料公開されている。
http://www.digitalmediastrategies.com/lifeafter30/TVCM.pdf

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