第9回
YouTube/HDDビデオの時代に
日本のテレビ局は生き残れるか?
国内でも米国3大ネットのような「大再編」はあるか?
米国では、3大ネットワークのうち、CBSはViacomと統合(ただし2005年12月末に分割して別会社化)、ABCはディズニーに吸収され、NBCはGE傘下となっている。
ディズニーは単にキャラクターグッズを販売している会社ではなく、総合的なメディアのコングロマリット(複合企業)である。GEが、電機メーカーというよりも、事業金融・消費者金融から医療・ジェットエンジン事業までをも含む、「ファイナンス」や「企業価値」を非常に意識したコングロマリットであるのは、ご存知のとおり。
日本のテレビ局は、テレビを中核とする事業だけで独立した企業として上場している。しかし、世界の流れやファイナンス的な観点から考えれば、テレビ事業単独で公開している企業は、今後もテレビ事業単独で上場企業として存在し続けることは、財務的にかなり不安定な状態だと考えるのが素直ではないだろうか(図5)。
【訂正】Viacomは2005年12月にCBSを分割・別会社化したので、このページの第1段落~第3段落の記述内容を一部修正しました。また図5のCBSの部分も修正しました。(2006/12/15)
※各社の有価証券報告書等より
※米国3大ネットワークについては、グラフの色の付いた部分がメディア関連事業
日本のテレビ局については、放送法などの日本固有の規制もある。また、「資本のねじれ」が発生していたフジテレビや、安定株主比率が低いTBS(東京放送)ですら、村上ファンドやライブドア、楽天などが買収に成功していないことを考えれば、いわんや、新聞社などによる安定株主の比率が高い日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京などは、「資本の力でねじ伏せられる」企業ではないことも確かだ。
しかし、前述のように、インターネットの発達や記憶媒体価格の指数関数的な低下、米国メディア企業に比べて半分程度に見える収益性に対する株式市場からのプレッシャーは、日本のテレビ局に対して、“ボディーブロー”のように影響を及ぼしていくだろう。これから10年以内に、これらの「IT的」「ファイナンス的」な外部要因が、コーポレートガバナンスの変革や社内の意識改革、新しいビジネスモデルへの取り組みなど、大きな「痛み」を伴う変革を突き付けるのは確実と考えられるのである。

公認会計士でアルファブロガー
長銀総合研究所に就職後,ベンチャー企業のCFOを経て2001年7月に独立し,磯崎哲也事務所を開業。現在,カブドットコム証券の社外取締役,ミクシィの社外監査役なども務める。ブログ「isologue」(イソログ)を執筆中。
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