カルピス
身近なモバイル・サイトでファンを育成
キャンペーンの費用対効果も向上
ターゲティング・メールで商品情報へのアクセス数が4倍に
モバイル・サイトの会員の中でメール配信を希望するユーザーには、月に2回ほど定期的にメールマガジンを発行し、サイトの更新情報や新商品情報、キャンペーン情報などを告知している。遠藤氏は、携帯電話向けメール配信の特性について、「メール配信後、すぐにサイトへのアクセスがある。PC向けメール配信と比較して、ユーザーの反応が速いのが特徴。迅速にユーザーとコミュニケーションしたい場合は、PCよりもモバイルを選択した方が高いプロモーション効果を発揮できそうだ」と分析する。
カルピスは、こうしたモバイルの特性を生かすために、2007年2月7日に新しい試みを実施した。会員の属性データから特定の対象者を抽出して告知するターゲティング・メールを、初めて配信したのである(写真7)。
会員登録時に興味あるテーマとして花粉症またはアレルギーを選択した7000人に対して、体内バランスを整えるL-92乳酸菌と甜茶(てんちゃ)を含んだ乳酸飲料「インターバランスL-92/すっきりグルト」を紹介するメールマガジンの号外を配信。この商品が店頭に並んだころを見計らい、かつ花粉症対策が話題に上りつつある時期を狙って、関心の高いユーザーだけに情報を提供した。モバイルの限られた文字数でもインパクトを与えられるように、顔文字を使って花粉症時期のくしゃみの煩わしさを表現。対象ユーザーに共感してもらうための見せ方を工夫した。
「興味のない不必要な情報を送り続ければ、ユーザーにメール配信を解除される恐れがある。一方で、適切なユーザーへ適切な情報を提供すれば、プロモーション効果をより高められる」(遠藤氏)。実際に号外メールマガジンを配信した結果、インターバランスL-92/すっきりグルトの製品情報ページへのアクセス数は、前日と比べて約4倍に伸びたという。
携帯電話向けポータル・サイトを構築したメリットの一つとして、遠藤氏は「大掛かりな広告を打てないような商品でも、ロイヤルティーの高い顧客へ向けて効果的なプロモーションを実施できるようになった」ことを挙げる。つまり、自社メディアを利用すれば、関心の高い顧客へ情報を発信したり、キャンペーン・サイトへ誘導するなどのプロモーション活動が、低コストで容易に実施できる。モバイル・サイトは、さまざまなプロモーションを効率的かつ効果的に実行するプラットフォームの役割を担っているのである。
さらに今後は、「会員組織を利用して、モニター調査などを実施することも検討していきたい」と遠藤氏は言う。現在でも、プレゼント応募の際に簡単なアンケートに回答してもらったり、フリーアンサーのスペースを設けてサイトに関する意見を求めたりすることがある。アンケートへの回答はプレゼント応募の必須条件ではないにもかかわらず、多数のコメントが寄せられている。モバイルは生活者に浸透している最も身近なコミュニケーション・ツールであることから、すき間時間を利用して気軽に応答する習慣が根付いているようだ。集約したアンケート結果は、マーケティング・データとして、商品開発やサイト運営などに生かしている。
とはいえ、携帯電話向けポータル・サイトの効能は、まだ十分には社内で認知されておらず、プロモーションやマーケティングの場面で積極的に利用しているとは言い難い状況である。モバイル・サイトの運営には、遠藤氏を含む2人が専任で従事しているだけで、これまでは会員を飽きさせないサイトを目指して粛々とコンテンツの拡充に努めてきた。
2万人を超える会員数を獲得した現在、「これからは、このポータル・サイトを活用したさまざまなプロモーションの仕掛けづくりに注力していきたい」(遠藤氏)考えだ。モバイル・サイトの力を十分に引き出すためには、関係部署と連携した全社的な取り組みが不可欠である。遠藤氏は現在、会員数3万人という当面の目標に向かってサイトを強化するとともに、各事業部の参加を呼びかけるための社内的な啓発活動を推進している。
(ライター 中村 実里)
従業員数: 837人
事業内容: 乳酸菌飲料大手。「カルピス」「カルピスウォーター」をはじめとする飲料や健康機能性食品などを製造・販売。
会社概要URL: http://www.calpis.co.jp/corporate/gaiyo/
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