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第1回 これからの企業サイトに不可欠なWebガバナンス

(2005/06/01 古賀雅隆=日経BPコンサルティング 調査第三部 チーフコンサルタント)

企業のWebサイト活用はますます拡大している。部署単位で勝手に作っていたサブサイトの寄せ集めでは、コーポレートサイトはその役割を十分に果たせなくなってきている。Webサイトを全社で統合的に管理し、サイト全体を有効に活用しなければならない。

全社的にWebサイトを統一管理するという考え方を「Webガバナンス」と呼ぶ。今後の企業Webサイトには、Webガバナンスの概念が不可欠である。Webサイトの構築・運営は統合的に管理する必要があり、Webガバナンスの概念はユーザビリティ、セキュリティ、SEO(サーチエンジン対策)などの視点から、そしてWebサイトの高度な活用、企業内のヒューマンリソースの最適配分の視点からも欠かせないものであるからだ。

Webガバナンスの発想に基づいたWebサイトは、サイト全体を企業が設定したWebサイトの活用目的に合わせ、ひとつのルールのもとに統合的に構築・運用していくことになる。Webガバナンスを実現するための要素は多岐にわたる。例えば、トップページからコンテンツページへのナビゲーションを整えること、リンクなどの構成のしかたを定めたデザインルールが確立されていることが求められる。

加えて2004年6月に発効した日本工業規格の「高齢者・障害者等配慮設計指針(=JISX-8431)」に合わせて、アクセシビリティを向上させることや個人情報が十分に保護されること、ユーザーが安心してWebサイトを使えるようにサイトのセキュリティを高めることなどが求められる。もちろん、Webサイト自体の利用を増やすためには、提供する情報の充実や便利なサービスの提供も欠かせない。

こういった取り組みを統一管理の発想の下に行えば、Webサイトをいっそう高度に活用することができるようになり、事業展開や情報提供への利用ももっと進むだろう。今後、Webサイトと各種チャネル、ほかのメディアとの融合、相互活用が進むと考えられるが、そういった将来的な方向性にも合致しやすくなると考えられる。

実は、Webガバナンスという考え方は、まったく新しい概念というわけではない。Webサイトの位置づけや活用目的の変遷に沿って、自然に生まれてきたものに近い概念だと思う。

まずWebサイトがどのように活用されてきたかを振り返ってみよう。

Webサイト利用の変遷と要求
●Webサイト利用の変遷と要求

90年代半ばにWebサイトの商業利用が始まり、日本でも企業、自治体がホームページを開設し始めた。米国からホームページのサクセスストーリーが伝わってきたことも、ホームページ開設の気運を高めることにつながった。ただ当時は、広報・広告に使えそうだ、と考えて開設されたサイトが多く、街角の看板やポスターのようなホームページがほとんどだった。「○○社がホームページを開設」などと、ホームページを持つだけで新聞などに紹介された時期である。

98年ころからは、ビジネスユニットや部署ごとにコンテンツページを立ち上げる企業が増えてきた。EC(電子商取引)やカスタマサービスなど、便利なサービス機能をつけたり、情報内容を充実させるたりする動きが本格化し、双方向性を生かしてWebサイトで意見を吸い上げたり、提案を受けたりするなどのサービスも増えてきた。さらにWebサイトの利用が広まってくると、より一層使いやすく、利用者が企業サイトへ来訪した目的を果たしやすいサイト、企業側のサイト設置目的を達しやすいことへのニーズが高まっていった。

サイトの利用が拡大するにつれ、利用者からWebサイトへの要求も厳しくなってきた。ホームページがあればいいという悠長な時代から、充実した情報や便利なサービス機能を求める時代となり、より使いやすいこと、そしてだれでも安心して使えること、より安全に使えることが要求されるようになってきた。こういった要求に従って、Webサイトを見直そうという気運は高まり、サイト運営に関わる者の悩みは増すことになる。

なぜWebガバナンスが必要なのか
●なぜWebガバナンスが必要なのか

さまざまな要求が出てくると、個々のコンテンツ担当者に頼ってサイトを運営していくことはむずかしい。サイトを一定にルールに従って構築・運営・管理していかなくては、とても時代の要求にこたえることができない。そこで必要となってきたのがWebガバナンスという発想なのである。

具体的には、

  • 想定されるWebサイト利用者に合ったユーザビリティの向上
  • より多くの利用者が支障なく使えるアクセシビリティの確保
  • 顧客が自分の個人情報を安心して提供できるセキュリティと運営管理ポリシー
  • ブランディングやマーケティングといった目的をかなえられる設計

などの要素を満たすWebサイトの構築と運営が必要となってきたのである。

つまり、これまで多くの企業サイトで見られたような、必要に応じてビジネスユニットごと作ってきたページの集まりを、サイトの顔としてのトップページが束ねただけというWebサイトでは、利用者の要求に合わなくなり、またWebサイトの設置目的を果たすことができないようになってきたわけだ。

Webガバナンスという発想で、トップページはナビゲーションの起点、サイト全体を説明する顔としての役割を果たし、コンテンツページを階層構造にまとめあげていくというイメージのサイトが求められるようになってきている。

Webガバナンスのイメージ
●Webガバナンスのイメージ

Webガバナンスという概念が求められるようになってきた背景には、実はもうひとつの要因がある。もうひとつの要因については、次回まとめよう。そして、連載全体を通じて、Webガバナンスの実現に向けた具体的な方策などについて、順次話を展開していこうと思う。

■日経BPコンサルティング「Webガバナンス」キャンペーンページ

古賀雅隆(こが・まさたか)
日経BPコンサルティング調査第三部チーフコンサルタント。官公庁、企業のウェブサイトのユーザビリティ、アクセシビリティに関するコンサルティングを手掛けている。『ネット広告ソリューション』(日経BP社)、『戦略ウェブサイト構築法』(日経BP社)などインターネットの戦略的活用法についての書籍やCD-ROMの編集も担当。
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