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第2回 5年先を見据えたビジョンを持とう

(2005/04/19 池田豪彦=Narinari.com代表)

前回はホームページを開設する前段階として、企画書(仕様書)を作成することで自分の動機付けをハッキリさせよう、というお話をしましたが、今回はもう少し企画書の中身について突っ込んだ話をしていくことにします。

これはホームページの運営に限った話ではありませんが、長いスパンで進行するプロジェクトを立てる場合、3年先や5年先といった一定の未来を見据えておくことが大切です。近い将来、どうなっているかを想像し、どうなっていたいかという目標を立てる。この作業をするのとしないのとでは、その後のプロジェクト進行に対するモチベーションが大きく異なってくることでしょう。私の場合、「Narinari.com」を開設から3年以内に累計ページビュー(PV)が100万、5年以内に1000万を超えるホームページにしよう、というビジョンを描きました。

現在はインターネット人口もずいぶんと増え、「累計ページビュー100万」という数字はそれほど大きな意味を持たなくなってきましたが、「Narinari.com」を開設した1999年当時は、「100万を超えれば超大手」というのがホームページ管理者の間では共通の認識だったのです。「Narinari.com」と同じ「個人ニュースサイト」というカテゴリーでは、「ムーノーローカル」(現在は閉鎖)や「裏ニュース」(同)、「TECHSIDE」(http://techside.net/)といったホームページが1999年から2000年頃にかけて累計ページビューが100万に到達。「神の領域に足を踏み入れた」と賞賛されていたものです。ちなみに、累計ページビューが100万に到達するには、1000PV/日のホームページなら1000日(3年弱)、2000PV/日のホームページなら500日(1年半)かかる計算。当時はまだ1000PV/日前後でページビューが伸び悩むホームページも多かっただけに、やはり「累計ページビュー100万」には重みがあったわけです。

目先の利益よりもページビューを伸ばそう

「Narinari.com」では当初から「人が集まれば、お金は後からついてくる」というスタンスで運営してきたため、まずはページビューをどう伸ばすかに絞ってビジョンを描きました。これはYahoo! Japanのような大手ポータルサイトを含めて、初期のインターネット業界ではどこでも採用していたビジネスモデル(=人を集めて広告収入で儲ける)をなぞったものでしたが、現在は広告収入に依存しただけのビジネスモデルでは破綻するというのが業界の定説となっています。

とはいえ、仮に物販をするにしても、プロモーションをするにしても、1000PV/日のホームページと1万PV/日のホームページのどちらでしたほうが効果的なのかは一目瞭然です。いきなり「来月からホームページで物販をしてすぐに売り上げを倍増させたい」と目先の利益を考えるよりも、まずはページビューを伸ばしていくことのほうが得策と言えるでしょう。

しかしながら、3年先、5年先の具体的な数字を設定しただけで結果が伴うのであれば、そんなに楽な話はありません。次の段階として、当然「この数字に到達するにはどうしたら良いのか」という手段を考える必要があります。私がホームページ開設にあたり、考えたことは大きく次の3つでした。

  1. ほかのホームページには無い要素を必ず取り入れる
  2. ほかのホームページよりも更新頻度を高める
  3. ターゲット(読者層)を定める

この3つはなにも特別なことではなく、ホームページ作成の教則本のようなものには必ずと言って良いほど、載っているような基本的なもの。でも、そんな基本的なものを守ることが意外と難しいことでもあるのです。

ライバルのホームページを研究してウリを見つける

最初の「ほかのホームページには無い要素を必ず取り入れる」という点。これを実践するには、ほかのホームページをじっくり見て、研究する必要があります。己を知るには、まず敵を知ることから始めるというわけです。盲目的に自分の考えだけでホームページを開設したとしても、それはきっと独りよがりになるだけ。すでに開設され、人気を博しているほかのホームページはお手本として「利用」させてもらうのが賢いやり方でしょう。

そうした研究をじっくりとしていけば、自ずと「ほかのホームページには無い要素」が見えてくるはずです。それを上手く取り入れてカタチにすれば、自分のホームページにしかない要素、つまりはウリができることになります。ウリがあれば、それを求めて訪れてくれる人が増えるのは必然と言えるでしょう。ページビューを伸ばしていくためには最も大事なことかもしれません。

次の「ほかのホームページよりも更新頻度を高める」という点。インターネットユーザーは常に新しい情報を求める傾向があります。ホームページにアクセスした際に、情報が更新されていなかったのでガックリ、ということを皆さんも何度も経験しているはずです。また、あまり情報が更新されていないホームページにはなかなか訪れないという経験もしているでしょう。自分のホームページを訪れてくれるであろう読者も、同じ感覚の持ち主であることを考えれば、情報の更新頻度を高め、「訪れてくれたときに情報が更新されている」という体験を常に提供することが重要です。そういった体験を積み重ねることで、リピーターが生まれ、ページビューも伸びていくことになるからです。

目標の達成でモチベーションを高める

最後の「ターゲット(読者層)を定める」という点。「Narinari.com」では、特に女性ユーザーを意識しながらホームページ運営をしていくことを開設前の段階で決めていました。現在でこそインターネットをする女性ユーザーは一般的になりましたが、1999年当時はまだまだインターネットは男性のモノという印象だったため、正直、女性が楽しめるようなコンテンツがあまり無かったように感じていたのです。そのため、女性でも楽しめるようなホームページを作ろうと考えました。

とかく女性が好みそうな話題をチョイスしながら、かといって男性がそっぽを向かないように適度に男臭い話題を取り入れながら、バランスを保てるように運営をすることを心がけてきました。これは最初の「ほかのホームページには無い要素を必ず取り入れる」という点にも通じることだと言えそうです。

こうした準備を経て1999年10月4日にスタートした「Narinari.com」は、結果として1年後に累計ページビューが100万を突破、3年後には1000万の大台に到達しました。当初思い描いていた「3年で100万、5年以内に1000万」というペースよりもずっと早く、目標を達成したわけです。これまでモチベーションを切らさずにやって来られたのは、やはり3年先、5年先をジッと見つめて来たから。そして当初の目標を達成した今も、すでに次の3年先、5年先を見据えていることは言うまでもありません。

池田豪彦
Narinari.comの代表。大学4年のときにNarinari.comを開設し、デジタルハリウッド、フリー、Yahoo! JAPANを経て、再びフリーで活動。Yahoo! トピックスでの経験を活かしながら、Narinari.comの運営に勤しむ。毎日更新が信条のため、一日たりとも家を空けることができず、旅行などに行けないのが悩み。食べることがとにかく好きな食いしん坊のため、Narinari.comの運営にもその嗜好が色濃く反映されている。誤字脱字が嫌い。「週刊アスキー」にて「ケータイが好き!」のコーナーを担当中。
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