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情報漏えい対策で加速する企業システムの“集中化”

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(2005/11/18 日川 佳三=IT Pro)

情報漏えい対策の一環として,クライアントPCにはディスクを持たせずに,情報を集中管理することがトレンドになっている。クライアントPCに情報を保存させなければ,PCの盗難や紛失が原因の情報漏えいを防げる。しかし,ディスクや情報などのIT資産の“集中化”の流れは最近始まったことではない。情報漏えい対策が,従来のどのような動機付けよりも強力であったために,やっと注目され始めたに過ぎないと筆者は考える。

集中化と分散化の両立を模索

「IT資源を集中管理することで運用コストを軽減させる」という考え方と,「分散配置によって個人の生産性を向上させる」という考え方をいかに両立させるか,企業の多くは,そのシステム・アーキテクチャのあり方に悩んできた。IT資源を集中化させれば,運用管理にかかる負荷を軽減できる。その一方で,個人の生産性が犠牲になるケースも出てくる。

この悩みは,ワークステーションやWindowsパソコンの出現により始まった。これらが手軽に導入できるようになると,汎用機やオフコンなどを利用するそれまでの一極集中型から,CPU処理機構とデータ・ストレージの両方をエンド・ユーザーの手元に置く分散型のアーキテクチャへと舵が大きくきられるようになった。

この結果,個人の生産性は飛躍的に高まり,分散化は加速した。しかし,クライアント管理コストの増大という副作用が生じた。

そこで生まれたのが,分散と集中の“折衷案”である。具体的には,インベントリ情報を一元管理してソフトウエアを自動配布するという運用管理形態である。最終的な責任の所在(自由の所在)はエンド・ユーザーに委譲するものの,パッチやソフトウエアのバージョン・アップ作業を情報システムがサポートすることで,管理負荷を減らすというモデルだ。現在でも,このモデルを採用している企業は多いだろう。

画面情報端末が登場,ただし集中化は進まず

管理コストの軽減は十分ではないものの,エンド・ユーザーの利便性を考えると,上述のモデル以上のものは望めない状況が長く続いた。その状況を打ち破った仕組みが,画面情報端末,すなわち米Citrix SystemsのICA(Independent Computing Architecture)や米MicrosoftのRDP(Remote Desktop Protocol)である。Windowsクライアントの環境をそのまま利用できるという利便性を維持しつつ,ソフトウエアのバージョン・アップやデータ保護など,クライアント管理負荷を減らすことができる。

画面情報端末が広まった一番の要因は,WAN回線が安価になったことである。ネットワーク・インフラが安くなれば,遠隔拠点に分散配置したIT資源を,本社のデータ・センターに一極集中化できる。システム管理者が遠隔拠点に定期的に出張して維持管理するコストよりも,WAN回線のコストの方が安い。

画面情報端末を取り扱うベンダーは,WAN経由でも問題なく利用できることをアピールするために,必要とする帯域が少ない点を強調した。「32kビット/秒あれば実用になる」(ICAを開発した米Citrix Systems)といった具合だ。

しかし画面情報端末がある程度広まったといっても,資源の集中化はそれほど世の中に訴求できなかった。導入コストや利便性を考えると,前述の折衷案の方が好ましかったからだ。管理コストの軽減だけでは,システム・アーキテクチャを変更させるには弱かった。 [全文]

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